富士経済は半導体材料市場を調査し,その結果を「2018年 半導体材料市場の現状と将来展望」にまとめた(ニュースリリース)。
それによると,半導体は近年,世界経済の成長により電子機器で需要が旺盛で,その市場は2018年以降も拡大が予想される。それに伴い半導体材料の市場も拡大が期待されるという。これまで半導体の主要生産国・地域といえば韓国,台湾であったが,ここ数年,輸入に頼っていた中国が半導体の国産化を進めており,生産国・地域構成が変化しつつある。
中国半導体メーカーはシリコンウエハーの確保や歩留まり,半導体の販売先,米中貿易摩擦など,いまだ多くの課題を抱えているが,半導体材料メーカーにとっては中国生産の拡大が大きなビジネスチャンスとなっているという。
技術的にはロジックの微細化,NANDの多層化が焦点となっている。開発が進められてきたEUVリソグラフィ技術を採用した半導体が2018年後半ころから量産化され,レジスト以外にも構造変化に伴い新規材料が採用される可能性が高まっている。また,NANDは2D微細化から3D多層化へとシフトした際に新規材料が多数採用されたが,今後の3D多層化に伴い新たな材料が採用される可能性もあるとする。
2017年の市場は267.6億ドルとなり,2018年には284.4億ドルを見込む。メモリを中心に半導体の需要が増加しており,半導体材料の需要も拡大している。特に,半導体の微細化と多層化に伴い,露光やエッチングやCMPなどで用いられる半導体材料の需要が急増しているという。
2022年の市場は335.6億ドルを予測。AIやIoT,車載での半導体の需要増加とともに微細化と多層化が進み,半導体材料の需要も拡大していく。また,中国における半導体工場の新増設による,半導体材料の需要増加が期待されるとした。
注目市場として,半導体分野におけるシリコンウエハを対象とした。2016年後半からデータセンター用途や,スマートフォンの高機能化に伴うメモリ需要の増加に加え,省エネ用のパワー半導体の伸長により,市場は大幅に拡大しているとする。
NANDとDRAMのニーズが拡大しており,現在ニーズが最も多い300㎜ウエハの需給が特にタイトになっている。メーカーは随時生産能力を増強していくとみるが,日系大手メーカーは依然大規模な設備投資には慎重だという。300㎜ウエハの需給がタイトになったことにより,2017年後半から200㎜ウエハの需給も逼迫感が出てきている。
IoTの普及で必要とされるコネクテッドデバイスが急増することにより,当面は需要増加が続くと予想する。中国での半導体工場の新増設も需要増加要因となるという。他にも,半導体成膜工程に用いられているシリコンプリカーサとしてトリスジメチルアミノシラン(3DMAS)や,SiO膜やSiN膜をエッチングする際に用いられるCF系ガスやCHF系ガス,半導体前工程のCMPプロセスで用いられている研磨液(CMPスラリー)の市場についても,拡大していくとして報告書では注目している。