国立天文台は,超広視野主焦点カメラ Hyper Suprime-Cam (ハイパー・シュプリーム・カム、HSC)の「HSC ビューワ」を開発し,公開した(ニュースリリース)。
すばる望遠鏡ではHSCが2013年から稼働している。HSCは合計8億7000万画素を持ち,満月9個分の広さの天域を一度に撮影できる広い視野を持った巨大デジタルカメラ。
HSCを使って300夜もの観測を行なう大規模な戦略枠観測プログラム (HSC-SSP) が2014年から進められている。その第1期データが,2017年2月27日 (ハワイ現地時間) に全世界に公開された。第1期データには,2014年からの1.7年間で取得された61.5夜分のデータが含まれており,満月600 個分を超える広さの天域をカバーしている。
このデータを誰もが手軽に見られるように,総データ量が80テラバイト (一般的なデジタルカメラ画像の約1000万枚分) と膨大であるため,パソコンやタブレットから国立天文台のデータベースへアクセスして見る方式を採用した。
HSCビューワの初期画面に表示されている緑色の枠内へとズームインすると,HSCの画像が見えてくる。さらにズームインを続けると,星座を形づくる星々が見えない暗い領域からも,たくさんの小さな点々があふれ出るように見えてくる。この小さな点ひとつひとつが,星々が多数集まった銀河。比較的近傍にある大きめで形がわかる銀河や,遠方にある小さく淡い赤い点にしか見えない銀河まで,異なる距離にある様々な大きさ,形,色の銀河を見ることができる。