大阪大学の研究グループは,外部から色素や造影剤を添加せずに免疫細胞の非侵襲的測定を可能にする,マルチモーダル顕微鏡プラットフォームを開発した(ニュースリリース)。
ラベルフリーの光学測定は,非侵襲的に試料を観察する手法として発展してきた。一方で,定量位相顕微鏡法やラマン分光法などの技術は広く用いられてきたものの,通常,細胞の形は分かっても,細胞の活性状態の測定は困難だった。
研究グループは今回,外部から色素や造影剤を添加せずに免疫細胞の非侵襲的測定を可能にするマルチモーダル顕微鏡プラットフォームを開発した。これらの測定値から抽出されたパラメータは,機械的アルゴリズム(ディープラーニング)を用いて,リポ多糖類(LPS)投与時のマクロファージ活性化など細胞応答の解析を可能にする。
同グループは,こうした非侵襲的光学的手法により,単一細胞レベルでの活性化および部分的な活性化阻害が観察できることを示した。
今回開発した研究アプローチは,試料の内在的なコントラスト,すなわちその表現型および細胞内の全分子の量に基づく非侵襲的技術に基づくもの。これまでは個々の細胞応答ではなく細胞集団レベルで試料を測定することが多かったのに対し,単一細胞レベルでの測定を可能とし,集団内の個々の細胞間相互作用の研究を可能にするとしている。