旭硝子は,EUV露光用フォトマスクブランクスの供給体制を,グループ会社であるAGCエレクトロニクスにおいて,本年より大幅に増強する(ニュースリリース)。
電子機器の高機能・小型化が進むにつれ,半導体チップの計算処理の高速化,データの大容量化,高集積化が求められている。そのためには半導体チップの回路パターンを微細にする必要があるが,現行の光リソグラフィ技術では「7nm世代」と呼ばれる半導体デバイスの微細なパターン形成は,理論上難しくなっている。EUV露光技術はこの微細なパターン形成の最有力とされている。
同社はEUV露光技術で用いられるフォトマスクブランクス(EUVマスクブランクス)の研究開発を,2003年に開始した。これは,低膨張ガラス基板の表面に複数の組成から成る膜を積層した「フォトマスク」の原版。同社が保有する技術を統合し,現在では「ガラス材料」から「膜材料」までを一貫して手掛けることができる,世界で唯一のEUVマスクブランクスメーカーとなっている。
今後主流になるEUV露光技術の拡大を見据え,EUVマスクブランクスの供給体制を,グループ会社であるAGCエレクトロニクス社において,大幅に増強することを決定した。同社では,今後も大きな需要の伸びが見込まれるEUVマスクブランクス事業に対し積極的な設備投資を実施していくとしている。