NECは,組合せ最適化問題を超高速に解くための量子アニーリングコンピューティングにおいて,性能向上に大きく関わる量子状態時間を大幅に向上可能な方式の実証を完了し,量子アニーリングマシンの研究開発を加速するため,研究体制を大幅に強化すると発表した(ニュースリリース)。
AIを使った社会課題解決においては,機械学習によって導出された無数にある選択肢から最適な組合せを導出する「組合せ最適化」が極めて重要となる。このため,組合せ最適化問題を超並列に高速演算可能である量子アニーリングマシンの研究開発が世界的に進められている。
しかし,量子アニーリングマシンの実現に関しては,1)高速化のカギである量子状態を長時間保つことが難しく,2)大規模な問題を扱うための計算素子ネットワークの構築が難しい,という技術的課題があった。
今回同社は,1)量子状態を長く保つための新量子素子,2)新量子素子間を密に結合し,スケーラブルに拡張可能な量子素子間ネットワーク,の2つの技術の基本動作の検証に成功した。この方式を用いれば,対象の問題のサイズが大規模な場合であっても,組合せ最適化問題を超高速に解くことができるとしている。
同社はこの技術を採用した本格的量子アニーリングマシンを2023年までに実用化するため,研究者を増員して体制を拡大し,研究開発を大幅に加速するとしている。