日本板硝子は,微細貫通穴ガラス基板(TGV:Through Glass Via)の開発に成功したと発表した(発表記事)。TGVはデバイスの小型化によって従来のワイヤボンディングでは対応が難しくなりつつある高密度実装を可能にする技術として注目を集めている。
しかし,ガラスに微細な貫通穴を開けるのは難しく,一般的なドリルやレーザーなどの加工方法ではガラス基板が割れたり,貫通穴周辺が盛り上がったり,形状が不均一になったり,実用的な加工速度が得らないといった問題があった。
同社は今回,独自に専用のガラス基板とその穴あけ技術を開発した。この技術はチッピングや盛り上がりが無く,角の立ったシャープな加工を実現している。特許の関係からその手法は現在のところ完全には公開できないとしながらも,レーザーに器具などによる加工を組合わせたものだという。
加工サイズは,最小で厚さ0.1mmのガラス基板に直径25㎛の穴あけから,最大で厚さ0.72mmの基板に直径80㎛の穴あけまでを実証している。間隔は穴の中心から穴の直径2つ分距離での加工が可能。これよりさらに微細,または大口径の加工についてはニーズを見極めながらさらに開発する余地があるとしている。
専用ガラスも基板としての特性に気を遣っているといい,誘電率は一般的なガラスの半分程度,また熱膨張率もシリコンと同等になる様にチューニングされている。またガラス基板を介して光を出射する用途も想定して,400nm~1000nmにおいてほぼ90%の透過率を確保した。
同社では貫通穴のサンプル基板として8インチを提示している他,300×400mmの大型角型基板への加工例も示している。まだ開発途中の技術でもあり,実際に市場が求めるTGVや基板のサイズ,厚み,スループットなどをリサーチしながら,2020年~25年を目途には量産技術を実現したいとしている。
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