理研ら,「洗濯できる」太陽電池を開発

理化学研究所(理研)と東京大学の共同研究グループは,洗濯も可能な伸縮性と耐水性を持つ,超薄型有機太陽電池の開発に成功した(ニュースリリース)。

衣服に貼り付けることができる太陽電池は,生体継続モニタリングに向けたウェアラブルセンサーなどを駆動するための電源として重要な役割を果たす。このような太陽電池の実現には ①高い環境安定性,②高いエネルギー変換効率,③機械的柔軟性,の三つの要素を同時に満たす必要がある。しかし,従来の有機太陽電池ではこれらを同時に満たすことは困難だった。

今回,共同研究グループは,超柔軟で極薄の有機太陽電池を作製し,大気中・水中の保管でも劣化なく動作させることに成功した。この超柔軟な有機太陽電池は,厚さ1μmの基板フィルムと封止膜を利用しており,曲げたり,つぶしたりしても動作する。このように超薄型でありながら,高いエネルギー変換効率と同時に高い耐水性を両立させることに成功した。

作製した超薄型有機太陽電池は,ガラス支持基板から剥離した状態で高いエネルギー変換効率を示した。具体的には,擬似太陽光(出力100 mW/㎠)照射時における短絡電流密度(JSC)が16.2 mA/㎠,解放電圧(VOC)0.71V,フィルファクター69%であり,エネルギー変換効率7.9%を達成した。

これまでに報告された柔軟性の高い有機太陽電池の効率が4.2%であることと比較すると,これは2倍近い効率の改善となる。さらに,このデバイスは約50%までつぶしても安定的に駆動し,非常に高い機械的柔軟性を持つことも確認できた。

今回の開発の決め手となったのは,高い環境安定性と高いエネルギー変換効率を両立した有機半導体ポリマーを極薄の高分子基板上に形成する技術。さらに,超薄型有機太陽電池をあらかじめ引張させたゴムによって双方向から挟むことで,伸縮性を保持しながら耐水性が劇的に向上する封止を実現した。

開発した太陽用電池は,120分間の水中浸漬でもエネルギー変換効率の低下は5%程度であり,また水滴をデバイス上へ滴下・一定時間保持しつつ約50%の伸縮を繰り返し行なった際にも,エネルギー変換効率は初期の80%を保った。

衣服貼り付け可能な環境エネルギー電源としてこの研究で実現した洗濯可能・伸縮性の超薄型有機太陽電池は,ウェアラブルデバイスやe-テキスタイルに向けた長期安定電源応用の未来に大きく貢献すると期待できるとしている。

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