パナ,赤外線センサーとカメラによる眠気制御技術を開発

パナソニックは,人の眠気を検知・予測し,覚醒状態を維持させるための眠気制御技術を開発した(ニュースリリース)。2017年10月からサンプル対応を開始する。

同社は今回,監視カメラなどの開発で培った画像認識技術を活用し,カメラ画像から瞬目,表情などを非接触で高精度に検出する技術を新たに開発した。具体的には,目の輪郭を抽出し,瞼の開口度から瞬きの時間変化をモニタリングする。

さらに,これまでに収集した眠気と瞬目,表情などに関するさまざまな計測結果をデータベース化し,その中から瞬目,表情などに関する約1800のパラメータと眠気の関係を生理学的見地に基づき分析した。また,大原記念労働科学研究所と共同で行なった眠気表情の分析結果に基づき,眠気レベルを推定する独自AIを開発した。

これらにより,無自覚の浅い眠気まで検知するとともに,検知した眠気のレベルを分類することが可能になるとする。

また,一般的に,寒く明るい環境であれば人は眠くなりにくく,暖かく薄暗い環境では眠くなりやすいことから,眠気は温度や明るさ等の車室内環境に依存すると言われているが,同じ温度環境下でも厚着の人や薄着の人がいるなど,人の眠くなりやすさを周囲温度のみから推定することは困難だった。

同社は,着衣の状態にかかわらず,人体からの放熱量が,所定時間経過後の眠気と関係性があることを,千葉大学との共同研究で明らかにした。また,独自の赤外線アレイセンサー「Grid-EYE(グリッドアイ)」を用いて,人の体からの放熱量を非接触で計測する技術も開発した。あわせて,環境センサーで計測した周囲の明るさと,時間経過が眠気に与える影響も明らかにした。

赤外線アレイセンサーは,人や物体が放射する10um帯の赤外線を検知する画素を二次元に配置したセンサーで,二次元温度分布を測定できる。「Grid-EYE」は64画素のセンサーだが,高解像度アルゴリズムを搭載してさらに最適な角度とスピードでスイングさせることで,約7800画素相当の鮮明な熱画像が得られる。

これらにより,非接触で計測した人の体からの放熱量や周囲の明るさから,現在の眠気がどのように推移するかを予測することが可能になった。

予測した眠気レベルに応じて温度や風量を制御すると覚醒状態を維持しやすくなるが,気温が低くなりすぎると人は寒いと感じて,温熱快適性が損なわれる。同社は,これまでにルームエアコンの開発などで培った温熱環境と生理学の知見を応用し,奈良女子大学との共同研究で,風流などの影響が大きい車室内などの環境でも適用可能な温冷感推定技術を開発した。

「Grid-EYE」で人の温熱快適性を常時モニタリングしながら,空調など最適な手段を選択することで,快適に覚醒状態を維持させることが可能になるとしいている。

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