阪大,反射防止膜無しの太陽電池で変換効率20%達成

大阪大学の研究グループは,10秒~30秒の簡単な溶液処理によって,3%以下の反射率のシリコンウエハーを形成する方法を開発した(ニュースリリース)。この技術を結晶シリコン太陽電池に用いて,反射防止膜を形成しない極単純な構造の太陽電池で,20%の変換効率を達成した。

シリコンの反射率は,平坦面では30~55%と高く,反射防止が太陽電池の高効率化には必須。単結晶シリコンでは,KOHやNaOH等の強アルカリ性水溶液で20分程度エッチングすることによって,ピラミッド構造を形成して反射率を低減させることが一般的。しかし,ピラミッド構造の形成後も反射率は10%以上あり,反射防止膜を形成する必要があった。反射防止膜の形成は,プラズマCVD法等の高価でスループットが低い装置が必要で,高コストの一因となっている。

多結晶シリコンにはアルカリエッチングを利用できないため,酸エッチング(硝酸+フッ化水素酸水溶液)を用いてテクスチャー構造を形成するが,反射率は20%以上とあまり低くすることはできなかった。一方,研究グループが開発した化学的転写(surface structure chemical transfer,SSCT)法では,単結晶シリコンでも多結晶シリコンでも,3%以下の極低反射率にすることができる。

この方法ではどの方向から入射する光もほとんど反射しないので,反射防止膜を形成する必要がない。一方,シリコンナノクリスタル層は莫大な表面積を持つので,効果的な表面パッシベーション処理を行なわなければ,光生成した電子とホールが表面で再結合して消滅し,変換効率が低下する。

そこで再結合を防止するために,リン珪酸ガラス法(PSG法)という新規の方法を開発した。PSG法を用いない場合の太陽電池の変換効率は約15%だったが,これを用いることによって20%にまで向上した。

安価な固定砥粒法・多結晶シリコンを,この技術では容易に極低反射率化することができ,太陽電池に用いることができる。開発した技術を用いれば,太陽電池の製造コストを約2割低減できるとしている。

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