大阪大学は石川県工業試験場,村谷機械製作所と共同で,青色・近赤外線半導体レーザーを搭載したマルチカラーレーザーコーティング装置を開発した。
装置は内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)革新的設計生産技術(プログラムディレクター:佐々木直哉氏、管理法人:国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)で実施中の「高付加価値設計製造を実現するレーザーコーティング技術の研究開発(プロジェクトリーダー:大阪大学接合科学研究所・准教授の塚本雅裕氏)」で開発したもの。
開発した装置には,出力100Wの青色半導体レーザーモジュールが2台(一台のモジュールからのレーザーは光ファイバー出力:コア径200μm,波長445nm)と,出力50Wの近赤外線半導体レーザーモジュールが4台(一台のモジュールからのレーザーは,光ファイバー出力:コア径100μm,波長900nm帯)が搭載されている。
従来の青色半導体レーザーコーティング装置では,原料粉末を加熱溶融して基板上で皮膜を形成するレーザー光源として出力20Wの青色半導体レーザーモジュールを6台搭載し,専用に開発したマルチビーム式レーザーコーティングヘッドにより,6ビームを一点に集光することで出力100W以上を実現していた。
今回の装置では,1台で出力100Wのレーザー光を照射できる青色半導体レーザーモジュールを2台搭載できるようになり,2ビームで200Wを実現。出力を高めることによって従来の青色半導体レーザーコーティング装置よりも純銅粉末を容易に加熱溶融することが可能になる。また,レーザーコーティングヘッドの空いた4ポートに50Wの近赤外線半導体レーザーモジュールからのレーザー光を導光し,4ビームで合計200Wの近赤外光レーザー光を追加投入することができる。これにより,合計400Wの波長の異なるレーザー光を同時に照射することが可能だ。
なお,青色・近赤外線半導体レーザーを搭載したマルチカラーレーザーコーティング装置は2017年4月19日から開催されるOPIE’17(ブース No.G-25)に出展する。また、大阪大学(ブースNo.B-19)では,100W級青色半導体レーザーを搭載した熱伝導溶接機」を展示する。