静岡大学は,製造現場での高分解能観察を可能にする構造化照明顕微鏡を開発した(ニュースリリース)。
構造化照明による高速かつ高分解能な顕微法は蛍光顕微鏡として実用化され,細胞レベルの現象解析に役立てられている。一方,その性能から工業的利用が期待されているが,様々な問題のため実用化に至っていない。
一番の問題は,照明位置のコンピューター処理への入力が要求されるという高分解能化の成立条件に起因する。照明位置を正しく決定するためには高精度位置決め機器の導入が必要で高コストとなっている。
その上,製造現場に導入するためには振動や温度ドリフトなどの環境外乱の影響も考慮する必要があり,特殊な装置や環境を整えなくてはならない。
そこで研究グループは,照明位置計測用の専用光源と装置を組み込むことを提案した。これにより検出した照明位置をコンピュータ画像処理にフィードバックすることで,環境外乱の下での高分解能観察を実現する。
これにより,環境外乱に強く,高精度位置決め機構が不要で低コスト,安価な位置決め機構を用いた高速イメージングが可能,照明位置の計測結果を用いた校正が可能のため観察準備工程も少なくて容易となった。
さらに,蛍光染色が出来ない場合においても高分解能な生体観察ができ,高速で低コストであるという光学顕微鏡の本来の特性を活かした計測システムが実現するとしている。