IDC Japanは,国内レーザーMFP/プリンター市場に関する2016年第2四半期(4月~6月)の実績を発表した(ニュースリリース)。
それによれば,2016年第2四半期の国内レーザーMFP/プリンター全体の出荷台数は,前年同期比5.5%減の31万4,000台となった。
プリンター機能に加えて複写機能,スキャナー機能などを備えた,レーザーMFP市場は,カラーレーザーMFPが前年同期比1.7%減の12万2,000台,モノクロレーザーMFPが0.4%増の4万5,000台となった。今期は,モノクロレーザーMFPに比較的大型の官公庁向け案件が数件あったことから,成長率がカラーレーザーMFPよりも高くなっているという。
レーザーMFP全体では前年同期比1.2%減の16万7,000台となった。カラーレーザーMFPが前年同期比で減少した背景には,前年同期にあった大手コンビニエンスストアチェーン向けA3カラーレーザーMFPの置き換え案件と同等の出荷が,今期はなかったことがある。同社では,カラー化とレーザープリンターからの移行によって,カラーレーザーMFPは大きく落ち込むことなく今後も推移するとしている。
レーザープリンター市場は,カラーレーザープリンターが前年同期比11.5%減の4万3,000台,モノクロレーザープリンターが9.3%減の10万4,000台となった。レーザープリンター全体では前年同期比10.0%減の14万7,000台だった。
今期は,前年同期と比較して,モノクロレーザープリンターに携帯電話販売チェーン向け大型案件の出荷があったものの,ベンダーによっては利益率の低い低価格なレーザープリンターの出荷の停止,または抑制を進めてきており,レーザープリンター全体としては大幅な減少となった。同社では,MFPや高速機への集約から,レーザープリンターの減少傾向は,緩やかにはなるものの継続するとみている。
国内レーザーMFP/プリンター市場は既に成熟している。しかしながら,詳細に見ていくと,MFP化率,カラー化率などの指標には変化が見られるという。前年同期と比較すると,今期のMFP化率は53.1%,前年同期から2.3ポイントの増加だった。レーザープリンターの出荷台数は全体的に落ちてきている。
しかしながら,レーザーMFPがそれほど落ち込みを見せていないために,MFPの比率が高まる結果となった。カラー化率は52.6%,前年同期から0.6ポイント増加した。中長期的な視点で見た場合,ベンダーは利益が大きいカラーレーザーMFP,特にA3カラーレーザーMFPの販売に注力しており,MFP化率,カラー化率ともに徐々に高まっていくものと同社ではみている。
ベンダー別出荷台数シェアでは,キヤノン,リコー,富士ゼロックスが大きなシェアを持っており,この3社で60%以上のシェアを維持している。この3社にブラザー工業,シャープ,京セラドキュメントソリューションズ,NECを合わせた上位7社で国内レーザーMFP/プリンター市場の80%以上のシェアを占める。
前年同期と比較すると,京セラドキュメントソリューションズが今期は6位に入った。これは,NEC,セイコーエプソン,沖データなどのレーザープリンターベンダーが出荷台数を減らす中で,今期,比較的大きな案件の出荷を行なっていたため。
同社では,成熟したこの市場においてレーザーMFP/プリンターの出荷台数を維持するためには,ベンダー,販売店が顧客,特に中堅中小企業顧客の状況変化を見逃さずに,ソリューションを含めた新たな価値を提案し,リプレイスに結び付けていく必要があるとしている。