浜松ホトニクスは,ライフサイエンス分野のスタンダードカメラとして発売するデジタルCMOSカメラ「ORCA-Flash4.0」シリーズを改良した「ORCA-Flash4.0 V3」を開発した(ニュースリリース)。
新製品は,従来製品の基本性能(量子効率82%,低ノイズ,高速読み出し,高解像度(2048×2048))を継承し,新たにデータ量の軽減と同時に読み出し速度の向上や解析時間の短縮を実現する機能を搭載した。
具体的には,カメラが取得した16bitのデータの内,必要なレンジのデータのみをLUT(Look Up Table)を使って8bitや12bitのデータとして出力することができる。この機能により,不要部分の画像データを出力することなく,結果としてデータの容量を削減できるだけでなく,USB3.0を使用した際,従来品に比べて読み出し速度を向上させることができる。
また近年,ライフサイエンス研究市場では,ライトシート顕微鏡や多波長イメージングに対する注目度が高まっているが,同社では独自のカメラ技術を駆使し,これら先端研究に対する最適な手法を開発した。
ライトシート読み出しモードは,ライトシート顕微鏡のS/Nを改善するsCMOSカメラの読み出し方法。ライトシート顕微鏡は,シート状の励起光を試料の側面から照射(上下に走査)することで光学断面像を得る蛍光顕微鏡。ライトシート読み出しモードでは,カメラの読み出しタイミングを励起光の動きに同期して調整できるため,散乱の影響を受けないS/Nの高い画像取得ができる。
また,カメラのセンサー(CMOS)の上下で独立した「露光時間の設定」,「サブアレイの設定(特許出願中)」,「読み出し方向の設定」ができる「W-VIEW モード」を搭載。W-VIEW GEMINIなどのイメージジスプリッティング光学系と組み合わせ,1台のカメラで2波長同時イメージングを行なう際の強力なツールとなる。
デュアルライトシート読み出しモード(特許取得済み)は,ライトシート読み出しモードとW-VIEWモードを組み合わせ,ライトシート顕微鏡における2波長同時イメージングに対応可能な機能となっている。
特に光量の低い領域でのリニアリティが優れていることに加え,画素間の差を最小限にすることで固定パターンノイズを減少させることにも成功した。結果として出力画像の均一性を示すPRNU(Photo Response Non-Uniformity)とDSNU(Dark Signal Non-uniformity)は優れた値を示す。
さらに,目的・用途に合わせ,複数レベルでの画質補正を可能にした。これにより,CMOSカメラ特有の長時間露光時の白点補正にも対応。また,ハイコントラストモードを搭載し,コントラストを改善した綺麗な画像表示を可能にした。