東大ら,超巨大ブラックホール形成のカギを発見

東京大学,呉工業高等専門学校らの研究チームは,アルマ望遠鏡などで得た高解像度の電波観測データを用いて,近傍宇宙の複数の銀河で,その中心の超巨大ブラックホールの周囲数100光年にわたって広がる低温・高密度な分子ガス円盤を調査し,そうした高密度分子ガス円盤が,超巨大ブラックホール成長における重要なガス質量の供給源として機能していることを初めて発見した(ニュースリリース)。

また,「高密度分子ガス円盤内で形成された大質量星が超新星爆発を起こし,ガス中に強い乱流が発生することで,さらに内側へのガス供給が促進される」という理論モデルで,銀河中心部でのガス質量流入・流出の収支が整合的に説明できることも明らかにした。

多くの銀河の中心には太陽質量の100万倍以上もの質量を持つ超巨大ブラックホールが普遍的に存在することが明らかになってきたが,その形成過程は未だ謎に包まれており,現代天文学が解決すべき最重要テーマの1つとなっている。

今回の成果は,超巨大ブラックホールの起源に迫る重要なものであり,今後はアルマ望遠鏡等を用いた遠方宇宙のブラックホール天体の詳細観測から,宇宙の古今にわたるブラックホール成長の包括的な理解が進むとしている。

関連記事「東大ら,最遠方の超巨大ブラックホールをガンマ線で発見」「慶大,天の川銀河中心の巨大ブラックホールを周回するガスリングの化学組成を解明」「理研ら,巨大ブラックホールの重力エネルギー変換エンジンの働きを解明

その他関連ニュース

  • 公大,スーパーカミオカンデとT2Kデータを統合解析 2025年02月28日
  • 東大ら,原始惑星系円盤の姿を多波長・高解像度観測 2025年02月05日
  • 浜ホト,超広視野多天体分光器にイメージセンサ提供 2025年01月15日
  • NAOJら,134億年前の生まれたて銀河の輝線を検出 2025年01月14日
  • 岡山大ら,宇宙創成の検証に偏光測定誤差を最小化 2025年01月07日
  • 千葉大,重力レンズで65億光年先の星を40以上発見 2025年01月07日
  • ispace EUROPE,月面レーザー反射鏡の輸送契約締結 2024年12月26日
  • 早大ら,110億年前の銀河団の星形成終焉過程を観測 2024年12月18日