東大ら,重力波の起源について新理論

東京大学および京都大学,立教大学からなる研究チームは,最近米国を中心としたLIGO-Virgoチームにより重力波と共に発見された連星ブラックホールが,宇宙の誕生直後に形成した原始ブラックホールであるという新理論をまとめた(ニュースリリース)。

原始ブラックホール連星自体は,90年代に盛んに議論されていたが,その存在量に対しその後別の観測から上限が課されたため,ほとんど注目されていなかった。

今回,原始ブラックホールの暗黒物質に占める割合が低いという状況の下で,連星ブラックホールの合体頻度を計算したところ,宇宙の暗黒物質の千分の1ほどを占めると仮定すると,予言される合体頻度が観測から決めた合体頻度と良く合うことが明らかになった。

今後,重力波や宇宙マイクロ波背景放射の観測データがさらに蓄積してくることで,今回提唱したシナリオが正しいことを確認できれば,初期宇宙の理解が一段と深まるとしている。

関連記事「国立天文台ら,ブラックホールの超光速運動を検出」「慶大,天の川で二番目に大きいブラックホールの兆候を発見」「LIGOら,2例目となる重力波を観測

その他関連ニュース

  • 公大,1台のカメラで薄膜の皺の大きさを測定 2024年11月22日
  • 国立極地研究所ら,日本出現のオーロラ色の謎を解明 2024年10月31日
  • 広島大,暗黒物質に関する新しい観測手法を提案 2024年10月03日
  • 三菱電機,宇宙光通信モジュールの軌道実証に成功 2024年09月30日
  • 筑波大,超高光度降着円盤の歳差運動を実証 2024年09月20日
  • NAOJら,カイパーベルト外に未知の天体集団を示唆 2024年09月05日
  • JAXA,SLR用小型リフレクターの反射光取得に成功
    JAXA,SLR用小型リフレクターの反射光取得に成功 2024年08月22日
  • 立教大,X線偏光でブラックホール近傍の変化を観測 2024年07月30日