東京大学および京都大学,立教大学からなる研究チームは,最近米国を中心としたLIGO-Virgoチームにより重力波と共に発見された連星ブラックホールが,宇宙の誕生直後に形成した原始ブラックホールであるという新理論をまとめた(ニュースリリース)。
原始ブラックホール連星自体は,90年代に盛んに議論されていたが,その存在量に対しその後別の観測から上限が課されたため,ほとんど注目されていなかった。
今回,原始ブラックホールの暗黒物質に占める割合が低いという状況の下で,連星ブラックホールの合体頻度を計算したところ,宇宙の暗黒物質の千分の1ほどを占めると仮定すると,予言される合体頻度が観測から決めた合体頻度と良く合うことが明らかになった。
今後,重力波や宇宙マイクロ波背景放射の観測データがさらに蓄積してくることで,今回提唱したシナリオが正しいことを確認できれば,初期宇宙の理解が一段と深まるとしている。
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