旭化成ケミカルズ,分子レベルで複屈折ゼロの光学用透明樹脂を事業化へ

旭化成ケミカルズは,分子レベル(ポリマー自体)で複屈折ゼロを実現した光学用新規透明樹脂「AZP」を開発した。

この製品をマーケットに投入するため,生産設備を同社の川崎製造所千葉工場(千葉県袖ケ浦市)内に新設し,2015年早々に稼働させるとしている。今回開発した「AZP」は,ディスプレイの高性能化や各種光学部品の新素材としての活用を見込んでいる。

テレビ,パソコン,スマートフォンやカーナビ等で使用されているディスプレイは,IT機器の高性能化に伴い高精細化,光利用効率の向上,低消費電力化が求められている。こうした市場のニーズに応えるため,同社は,プラスチック素材としては初めて分子レベル(ポリマー自体)で複屈折ゼロを実現した「AZP」を開発。

従来の樹脂では,複屈折のため,通過する光が歪み,光漏れを起こしてコントラストが低下したり,画像が不鮮明になる問題点があり,複屈折の制御が光学設計者の大きな課題だった。「AZP」は複屈折ゼロであるため,光の進行を乱さず,鮮明な画像,光利用効率の向上を実現することができる。また,軽量,加工のしやすさからガラス代替も期待されている。

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