産総研,新規封止材によりPID劣化が起こらないCIGS太陽電池モジュールを開発

産業技術総合研究所(産総研)太陽光発電工学研究センターは,メガソーラーなどで普及が進んでいるCIGS太陽電池モジュールにおいてもPIDによる出力低下が起こるのかどうか検証した結果,シリコン系太陽電池と同様に出力が低下することを確認した。PIDとは,ガラス基板からナトリウムイオンが封止材中に拡散し,シリコンセルの表面や内部に侵入することが原因とされる,ごく短期間で起こる太陽電池の劣化現象。

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PID試験(AIST法)により,結晶シリコンならびに薄膜シリコン太陽電池モジュール,標準型CIGS太陽電池モジュールの太陽電池特性の変化を評価したところ,結晶シリコン太陽電池モジュールでは数時間,薄膜シリコン太陽電池モジュールでは3日の試験により出力が数%以下まで大幅に低下した。これに対して,標準型CIGS太陽電池モジュールでは,3日後で92%,7日後でも46%の出力を維持し,シリコン系太陽電池よりPID耐性を持つものの,一定の影響があることが分かった。

詳細な調査の結果,IGS太陽電池モジュールの劣化の主原因は,シリコン系太陽電池と同様にカバーガラスから拡散するナトリウムイオンなどであることがわかった。これを受け,研究グループは封止材のEVAをアイオノマーに替えたPID対策モジュールを開発した。アイオノマーは高い体積抵抗率をもつことから,結晶シリコン太陽電池においても封止材に用いるとナトリウムイオンなどの拡散を防ぎ,高いPID耐性を示すことが知られている。

このPID対策モジュールを試験した結果,標準型モジュールの変換効率は,PID試験14日後に約30%まで低下したのに対し,PID対策モジュールでは,試験28日後においても劣化は全く起こらなかった。カバーガラスからのナトリウムイオンなどの拡散が,アイオノマーにより抑制されたため,PIDによる出力低下が起きなかったものと考えられる。

今回の成果は,CIGS太陽電池モジュールのメガソーラーなどへのさらなる導入加速を後押しし,太陽光発電システム全体の導入拡大や長期信頼性向上への貢献が期待されるものだとしている。

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