遠近感の罠 僕が住んでいる街の上空は,西に向かう飛行機の航路となっている。羽田から飛び立った飛行機は,ここ関東の西のはずれで上空数千mに達し,見事な飛行機雲の航跡を残していく。ぐんぐんと伸びていく飛行機雲を見ていると,なんだか僕自身 […] 2014年06月12日 ひかりがたり ,連載シリーズ ひかりがたり 第15回 著者:月谷昌之介
石川五右衛門とプラズモン 石川五右衛門は豊臣秀吉の時代の盗賊団の頭である。時には人殺しも厭わなかったというから決してほめられた生業ではないが,五右衛門の盗賊団が盗みを働く相手は秀吉を筆頭とする権力者のみだったこともあり,庶民にとってはヒーロー的な […] 2014年05月21日 ひかりがたり ,連載シリーズ ひかりがたり 第14回 著者:月谷昌之介
インスタントラーメンと光 久しぶりに袋入りのインスタントラーメンを作って食べた。僕が子供の頃から売られているロングセラーの銘柄だ。刻んだ長ネギを少し散らしてラーメンをすすったその瞬間,「ん?」という不思議な感覚に包まれ,そして懐かしい記憶が蘇って […] 2014年04月17日 ひかりがたり ,連載シリーズ ひかりがたり 第13話 著者:月谷昌之介
たまご肌の秘密 白くて艶のある「たまご肌」になりたい,というのは,多くの人たちが抱く願望である。ここでいう「たまご肌」とは茹で卵の白身(しろみ)のことだ。中には,茹で卵の黄身のような肌を手に入れたい,とか,生卵の白身のような透明な肌にな […] 2014年03月07日 ひかりがたり ,連載シリーズ ひかりがたり 第12回 著者:月谷昌之介
暗い夜空に乾杯 冬の夜に,暖かい部屋で鍋を突きながら日本酒をちびりとやる。頭に霞がかかってくるころには,なんだか幸せな気分になってくる。酔い覚ましにと結露した窓を開けて外に顔を出して見れば,凛とした夜空には星達が瞬いている。 背景が暗い […] 2014年02月06日 ひかりがたり ,連載シリーズ ひかりがたり 第9回 著者:月谷昌之介
色の名前も源氏名か? 物理学者であり名随筆家でもあった寺田寅彦は,「柿の種」という短文集の中で,原子番号数で呼べば完全に事足りるはずの元素に付いている「水素」とか「酸素」とか「テルリウム」とか「ウラニウム」とかという名前を,一種の「源氏名」の […] 2014年02月06日 ひかりがたり ,連載シリーズ ひかりがたり 第8回 著者:月谷昌之介
煩悩と散乱光 どうも片付けが苦手である。机の上には雑多なものが無秩序に散乱している。「きっと頭の中だって同じようなものだろう」と良く人に言われるが,それは当たっている。いつでも色々なことが頭を駆け巡っていて,全くもって散乱状態である。 […] 2014年02月05日 ひかりがたり ,連載シリーズ ひかりがたり 第10回 著者:月谷昌之介
武蔵と小次郎が見た光 月谷昌之介 慶長17年(1612年)4月13日,巳の下刻(午前11時ごろ)。宮本武蔵と佐々木小次郎は巌流島の海岸で,今まさに命をかけた決闘の時を迎えようとしていた。世紀の決闘に武蔵がわざと遅刻をしてやって来たことや,刀の […] 2014年02月03日 ひかりがたり ,連載シリーズ ひかりがたり 第11回 著者:月谷昌之介
風立ちぬ ─ 光と影の仕業 ─ 月谷昌之介 風立ちぬ。堀辰夫の小説,かつてのアイドルの歌の曲名,アニメ映画のタイトルなど,この言葉で何が思い浮かぶかは人さまざまだろう。僕がこの言葉に感じるイメージとしては,なんとなくふにゃふにゃと過ごしてしまった夏も終 […] 2013年12月17日 ひかりがたり ,連載シリーズ ひかりがたり 第7回 著者:月谷昌之介
虚像で遊ぶ 月谷昌之介 通勤電車は僕の住んでいる盆地からちょっとした渓谷を抜けて,職場がある平野へと走っていく。列車の窓からは渓谷の四季の移り変わりが眺められ,毎日がプチ観光気分だ。 或る朝,僕はそんな通勤電車の車両連結部付近の席に […] 2013年12月11日 ひかりがたり ,連載シリーズ ひかりがたり 第6回 著者:月谷昌之介