虚像で遊ぶ

月谷昌之介

通勤電車は僕の住んでいる盆地からちょっとした渓谷を抜けて,職場がある平野へと走っていく。列車の窓からは渓谷の四季の移り変わりが眺められ,毎日がプチ観光気分だ。

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或る朝,僕はそんな通勤電車の車両連結部付近の席に座っていた。その日は,たまたま眼の前に立派な体格の紳士が立ちはだかっていたため,向かいの窓を左から右に流れているはずの景色を見ることはできなかった。しかし,左横を見てみると,向かいの窓とは垂直な配置になっている連結部の窓に,僕が本来見ようとしていた景色が反射して映っている。

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