産総研が開発したサブミクロン球状粒子の生成法と,その光学応用

香川大学工学研究院准教授の石川善恵氏(現産総研)は,レーザを用いて酸化亜鉛や酸化チタンなどのサブミクロン球状粒子を効率的に生成する「液中レーザ溶融法」を発表している。これは原料粒子を分散させたコロイド溶液中にレーザを照射するだけで,様々な結晶性の金属や酸化物のサブミクロン球状粒子を得られるというもの。

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液中レーザ溶融法の概要と生成したサブミクロン球状粒子(出展:産総研)
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液中レーザ溶融法の展示用装置

非集光のナノ秒パルスYAGレーザ(1064,532,355nm)を溶液中に照射すると,パルスレーザのエネルギーをナノ粒子凝集体が吸収し,ナノ秒オーダーでその温度は融点以上にまで到達する。これによって凝集体は溶融した後,周りの液相によって冷却されて再凝固する。

間欠的なレーザ加熱により粒子全体は溶融・凝固を繰り返し,高温化学反応などが進行する過程で,粒子の組成やサイズなどの変化などが起こると共に,その形状は不定形から球状へと変化し,最終的に球状サブマイクロメートル粒子が生成する。

またレーザの照射方法や液相中の原料粉体の状態によって,得られる球状粒子のサイズなども制御できる。石川氏によれば,レーザのエネルギー密度や照射時間を変化させることで直径200~600nmの粒子を生成できるが,材料によっては50~100nmの粒子も生成できるという。

その材料についても,酸化亜鉛や酸化チタン,酸化銅,銅,鉄,酸化タングステン,シリコンなどのサブミクロン球状粒子の合成が可能であることが示されてきた。それまでもポリマーやシリカ等のアモルファスのサブミクロン球状粒子はあったが,機能性を有する材料での1次粒子からなるサブミクロン球状粒子は無かった。