ボックスカメラの空洞

ポーランドの古都クラクフでは,毎週日曜日に蚤の市が開かれる。旧市街から少し歩いた場所のアーケードとそれを囲む広場に,多くのにわか店舗が出現する。古本,食器,服,家具などアンティークの他,電化製品,家のガラクタを持ってきて並べている人や,中にはどうみてもゴミ箱から漁ってきたと思われる物をうず高く積んでいる人もいたりする。

店主たちは,黙ってじっと座っていたり,タバコをふかしていたり,何かを食べていたり,客そっちのけで友人と会話していたりと様々だ。それらの店の間を多くの人たちが行き来して,真剣に品定めをしている。

そんなごった煮状態の中を歩いていたら,アンティークなカメラを並べている店を見つけた。テーブルの上には1900年代前半のスプリングカメラやボックスカメラが並べられている。

スプリングカメラというのは,レンズがボディに収納されていて,撮影時にはそれが蛇腹とともに飛び出すタイプのものだ。レンズを畳むとコンパクトになるため,持ち歩きの高級カメラとして一世を風靡した。

この続きをお読みになりたい方は
読者の方はログインしてください。読者でない方はこちらのフォームから登録を行ってください。

ログインフォーム
 ログイン状態を保持する  

    新規読者登録フォーム

    同じカテゴリの連載記事

    • つららレンズ 納谷ラボ代表 納谷昌之(なや まさゆき) 2025年03月11日
    • 本当の風光明媚 納谷ラボ代表 納谷昌之(なや まさゆき) 2025年02月10日
    • 夕日と朝日どっちが赤いか 納谷ラボ代表 納谷昌之(なや まさゆき) 2025年01月10日
    • 虹の難易度 納谷ラボ代表 納谷昌之(なや まさゆき) 2024年12月10日
    • すでにマトリックス 納谷ラボ代表 納谷昌之(なや まさゆき) 2024年11月10日
    • 虹色の雲─彩雲か幻日か─ 納谷ラボ代表 納谷昌之(なや まさゆき) 2024年10月09日
    • 罪作りなメタマテリアル 納谷ラボ代表 納谷昌之(なや まさゆき) 2024年09月11日
    • 光学と楽観主義 納谷ラボ代表 納谷昌之(なや まさゆき) 2024年08月12日