主な職務:空港気象ドップラーレーダー・ライダー運用管理
1988年 旧高田測候所採用以降,新潟地方気象台,旧相川測候所,旧富山空港出張所,成田航空地方気象台を経て
2011年~ 気象庁観測部観測課観測システム運用室
2014年~ 気象庁観測部観測課航空気象観測整備運用室
2017年~ 現職
空の玄関口である空港には毎日多くの人々が降り立ち,旅立っていく。小規模な施設も含めて日本国内には97もの空港が存在するが,そのうち乗降客数が最も多いのは東京国際空港(羽田空港)で,その数は国内線・国際線を合わせると年間8,500万人を超える。これは世界の空港においても第4位の数字となっている。
さらに昨年は訪日外国人旅行者数が3,000万人を上回り,東京オリンピックを迎える来年にかけてさらに増えることが予想されるが,航空機の運航には変わらぬ安全性が求められることは言うまでもない。
特に航空機の事故が多いのが「魔の11分間」と呼ばれる離着陸時だ。東京国際空港に設置されている東京航空地方気象台は,万が一にもそうした事態が起こらぬ様,空港付近の気象を常に見守っている。
今回はそこで行なわれているLIDARを使った気象観測について,実際の装置の見学を交えて紹介して頂いた。
─東京航空地方気象台の位置付けと役割を紹介してください
地方気象台は気象庁の地方支分部局の一つで,だいたい各県に1カ所ずつあります。それとは別に空港に設置されている気象台もあり,航空地方気象台といいます。ここは東京航空地方気象台という東京国際空港にある気象台になります。
地方気象台は一般の方向けに観測データや気象情報,予報などを提供していますが,ここでは主に航空局や航空会社といった,航空機の運航や空港の運用管理に携わっている方に対して情報を提供しています。
観測データの提供として具体的には風向風速,見通し距離,雨やあられ等の大気現象,雲の形や量及び高さ,気温および露点温度,気圧を24時間常時観測しており,30分に1回観測結果を提供する観測通報ということを行なっています。風向風速や気温,露点温度,気圧は各観測測器により自動で観測されますが,見通し距離や大気現象,雲は人が目で見て観測を行ない,その結果を通報しています。
また,急に基準を超える強い雨が降ったり,見通し距離が悪くなった時などは,その都度,観測通報をしています。この他にも気象レーダーやライダーによる観測データもリアルタイムでユーザーへ提供しています。
気象庁では,空港に設置している気象レーダーを空港気象ドップラーレーダー(DRAW:DopplerRadarforAirportWeather),ライダーを空港気象ドップラーライダー(LIDAR)と呼んでいますが,私が主に担当する業務の一つが,LIDARの運用と管理です。
LIDARは,保守点検時以外は航空機の発着の有無に関わらず365日24時間運用していますので,万一故障した場合は迅速な復旧を求められます。
全体の基本的な管理は気象庁本庁からリモートで行なっていますが,やはり現地でないとできない操作もあります。遠隔でできることは限られていますので,障害が起きた場合は現地の職員で状況確認したり,場合によっては本庁やメーカーとやり取りしながら,できる範囲での復旧作業をしたりすることもあります。