自然な光を用いる瞬間カラー多重ホログラフィーと蛍光顕微鏡応用

5. まとめ

本稿では,自然な光を用いる瞬間カラー多重ホログラフィーと蛍光顕微鏡応用例を紹介した。一般の画像システムでは記録媒体の一部または記録時刻と,波長情報とが,1:1対応するのに対し,提案技術では記録媒体の一部が空間全体とその波長情報を記録または再生できる。ホログラフィーを用いることで,カラーフィルターを用いず各画素に全ての波長情報を記録させ,計算機処理で分離抽出し像再生できる。そのため,空間,時間,波長の情報容量の積の限界値を突破することができ,より高品質な光学システムを実現できる。

また,自然な光でディジタルホログラフィーを実現したことにより,ディジタルホログラフィーの応用分野が飛躍的に増大することが期待される。そして,波長フィルタレスなカラー多重記録により,蛍光顕微鏡や夜間など,光量が限られる条件において性能を発揮することが期待される。

波長フィルタの強度変調ではなく,位相変調による波長記録を広く普及させることを目指すと共に,カラー3次元蛍光顕微鏡の高速化および細胞,生体,材料観察応用,多様な光のカラー3次元イメージングへの展開など,技術の応用展開を継続して進めたい。

謝辞

本研究の一部は科学技術振興機構(JST)さきがけ(JPMJPR16P8),JSPS科学研究費(基盤研究(B)18H01456)により行なわれた。論文共著者,研究にご協力いただいた皆様に御礼申し上げます。

参考文献
1)J.W.Goodman and R.W.Lawrence, Appl.Phys.Lett.11,pp.77-79(1967).
2)A.W.Lohmann, J.Opt.Soc.Am.55,pp.1555-1556(1965).
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4)M.Takeda, W.Wang, Z.Duran, and Y.Miyamoto, Opt.Express13,pp.9629-9635(2005).
5)J.Rosen and G.Brooker, Opt.Lett.32,pp.912-914(2007).
6)J.Rosen and G.Brooker, Nat.Photonics 2,pp.190-195(2008).
7)特許第6245551号,出願日2013年6月18日.
8)T.Tahara, T.Kanno, Y.Arai, and T.Ozawa, J.Opt.(IOPPublishing)19,pp.065705(8pages)(2017).
9)T.Tahara, T.Ito, Y.Ichihashi, and R.Oi, Opt.Lett.45,pp.2482-2485(2020).
10)T.Tahara, A.Ishii, T.Ito, Y.Ichihashi, and R.Oi, Appl.Phys.Lett.117,pp.031102(5pages)(2020).
11)B. Zhu and K. Ueda, Opt. Commun.225,pp.1-6(2003).
12)J.Millerd, N.Brock, J.Hayes, M.N.Morris, M.Novak, and J.Wyant, Proc.SPIE5531,304(2004).
13)Y.Awatsuji, M.Sasada, and T.Kubota, Appl.Phys.Lett.85,pp.10691071(2004).
14)特許第6308594号,出願日2013年9月18日.
15)T.Tahara, R.Mori, S.Kikunaga, Y.Arai, and Y.Takaki, Opt.Lett.40,pp.2810-2813(2015).
16)T.Tahara, R.Mori, Y.Arai, and Y.Takaki, J.Opt.(IOPPublishing)17,pp.125707(10pages)(2015).
17)T.Tahara, R.Otani, K.Omae, T.Gotohda, Y.Arai, and Y.Takaki, Opt.Express25,pp.11157-11172(2017).

■Single-shot color-multiplexed digital holography with incoherent light and its application to fluorescence microscopy
■Tatsuki Tahara

■Electromagnetic Applications Laboratory, Applied Electromagnetic Research Institute, National Institute of Information and Communications Technology(NICT)

タハラ タツキ
所属:(国研)情報通信研究機構 電磁波研究所 電磁波応用総合研究室

(月刊OPTRONICS 2020年12月号)

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