ジョーンズベクトルで記述できる全ての偏光・位相を生成する液晶空間光変調器

n分割された画素は,各々i = 0, …, n–1のように番号付けされ,同一番号の画素同士は各液晶素子間で重なっているため,光線は同じ番号iの画素を通過する。このような構成において,PMCからの射出偏光は以下の式の通りになる。

式⑵

ここで,R(θ)は回転マトリクスで,θを観測者から見た場合の反時計回りの回転角とすると,

式⑶

と表される。

ここで,消光比(楕円率Aの逆数)をA–1,楕円偏光の方位角Φ,楕円長軸方向の位相をΘとし,画素番号iを省略すると,

式⑷

式⑸

式⑹

式⑺

の関係が導かれる。ここで,Aの取りうる範囲は0≦A<1となることから,ηを0≦η<2πの幅で制御することで,任意の消光比Rを保ちながらΦを0≦Φ<πの制御幅で回転させることが出来る。また,それと同時に要求されるζの制御幅は0≦ζ<πとなる。

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