4. 円筒面全面のナノレベル形状計測の例
次に,この3次元計測を使用した別の例として,円筒面のナノレベル形状計測例を示す9)。この例では2つのサンプルを扱い,ステンレス鋼(SUS304)製ロッド(直径10 mm)の表面を電解複合研磨によって鏡面加工したもの,およびシリンドリカルレンズを円筒の切り欠き部分に貼り付けたサンプルを用意した(図4)。
光学部品であるロッドレンズなどの寸法測定技術を想定しており,このロッドを図5のように空気静圧軸受に取りつけ,合成石英製の平面参照板(同図内の③)をロッドの軸に平行に設置し,この状態でレーザを母線(軸)方向に走査させて③側から計測すると平板とロッドとのすき間計測を行うことができる。平板は面精度λ/20,平行度2秒以内,5 mm厚さであり,これを理想的な平面と考えるとすき間の形状はロッド母線上の高さデータとなる。
この状態で,ロッドを軸回りに1回転させれば,円筒面が計測できる。その観察例を図6に示す。図6(a)では円筒面を展開したような干渉縞画像が観察されていることが分かる。場所によって木目のような干渉縞があり,ロッド表面が理想的な円筒形状ではないことが分かる。使用したレーザ波長は488 nmであるため,隣り合う干渉縞の高低差は244 nmである。図6(b)は前節と同様の方法によって3次元的に表示したものである。ロッド表面にカラーコンターで表示することで微小な形状誤差を把握しやすいことが分かる。