レーザ加工の基礎の基礎【6】 穴あけ⑵

著者: 門屋 輝慶

3.7 プリント基板へのレーザ穴あけ

絶縁体(プラスチック)と導体(銅)を複雑に組み合わせ,絶縁体でできた板の上や内部に導体が配線され,電子部品が取り付けられる前の状態がプリント配線板(PWB:printed wiring board)で,このプリント配線板の上に電子部品がはんだ付けされ,電子回路として機能するようになっているものがプリント回路版(PCB:printed circuit board)である。これらをまとめてプリント基板と呼んでいる(図5)。

図5 プリント基板:プリント配線板に電子部品がはんだ付けされている

絶縁体と導体が積層されたプリント基板において,導体間に導体を配線するための穴があけられる。プリント基板を貫通する穴もあるが,特定の層間のみを接続する穴もある。前者はTH(Through Hole:スルーホール),後者はそれ以外の層には穴が現れないので,したがってBVH(Blind via hole:ブラインドビアホール)などとも呼ばれる(図6)。これらホールの形成方法には,ドリルによる穴あけ,レーザ穴あけ,エッチング加工などがある。現在では,レーザが主要な穴あけ加工法である。したがって,プリント基板へのレーザ穴あけは,銅と絶縁材料を積層した板の必要な層間に穴をあけ,電気メッキで穴を導通させ,電気的に上下の銅板の間に電気が通じるようにするための基本的なプロセスでもある。

図6 ホールの模式図(黒い線は導体,灰色は絶縁体)

この続きをお読みになりたい方は
読者の方はログインしてください。読者でない方はこちらのフォームから登録を行ってください。

ログインフォーム
 ログイン状態を保持する  

    新規読者登録フォーム

    関連記事

    • 阪大、光照射で有機ガリウムの新しい酸化還元反応を実証

      大阪大学(阪大)の研究グループは、典型元素である有機ガリウム種が光照射によって遷移金属のような2電子酸化還元反応を示すことを明らかにした(ニュースリリース)。 遷移金属は、d軌道を利用して電子を可逆的にやりとりできるため…

      2025.12.08
    • 浜ホト、300mmウエハーを5秒で測定する面内膜厚計の受注を開始

      浜松ホトニクスは、300㎜半導体ウエハーを5秒という高速測定が可能な「HyperGauge 面内膜厚計 C17319-11」を開発した(ニュースリリース)。 半導体製造工程では、チャンバ内のピン温度などの影響により、ウエ…

      2025.12.05
    • 東大と茨城大、超小型X線光源でミクロ分子動態計測に成功

      東京大学と茨城大学は、X線動画で高分子樹脂内のミクロ分子運動を捉える新たな動態計測手法「透過 X 線明滅法(TXB)」を開発した(ニュースリリース)。 X線透過像は臨床ではレントゲン検査として利用されているが、今まで実験…

      2025.12.05
    • 野田進氏に英国ランク賞 フォトニック結晶レーザーの概念の創出と実現

      京都大学は、世界的に優れた研究成果を上げた科学者に贈られる英国のランク賞に、高等研究院の野田進氏の受賞が決まったと発表した(ニュースリリース)。 ランク賞は、イギリスの実業家であるJoseph Arthur Rank卿が…

      2025.12.03
    • ソニー、2億画素の新型モバイルセンサー「LYTIA 901」を発売

      ソニーセミコンダクタソリューションズは、1/1.12型の大判センサーサイズで有効約2億画素の高解像度を備えたモバイル用イメージセンサー「LYTIA 901」を商品化した(ニュースリリース)。 同製品は、0.7μmの画素ピ…

      2025.12.03
    • ルーマニアに60億円規模の「ハイパワーレーザー光学センター」建設へ 日・ルーマニア協力が本格始動

      ルーマニアのブカレストにある極限レーザー核科学研究所で12月3日、総工費60億円の「ハイパワーレーザー光学センター」の起工式が行われた。式典にはルーマニア政府のCseke Attila-Zoltan開発・パブリック・管理…

      2025.12.03
    • ヌヴォトン、来年3月から1.7W紫色半導体レーザーの量産開始 業界最高クラスの出力を実現

      ヌヴォトン テクノロジーは、波長402nm帯で業界最高クラスの光出力を実現した「小型・高出力1.7W 紫色(402nm)半導体レーザー」の量産を開始すると発表した(ニュースリリース)。 業界標準のTO-56 CANパッケ…

      2025.12.01
    • 分子研など3大学、光によってAu表面のスピン配置を最適化 メモリや超高感度センサーの実現に期待

      分子科学研究所(分子研)、総合研究大学院大学(総研大)、大阪大学(阪大)は、分子研の極端紫外光研究施設(UVSOR)の放射光と光電子運動量顕微鏡(PMM)にスピンローテーターと2次元スピンフィルターを組み合わせ、金(Au…

      2025.11.27
    • KDDI総研と京大、千歳科技大 宇宙光通信に適した周波数変調型フォトニック結晶レーザーを開発

      京都大学、KDDI総合研究所、公立千歳科学技術大学は、宇宙光通信など長距離自由空間光通信(FSO)への応用を想定し、発振周波数を高効率かつ高速に変調できる「周波数変調型フォトニック結晶レーザー(PCSEL)」を開発した(…

      2025.11.27

    新着ニュース

    人気記事

    新着記事

    • オプトキャリア