NTTは、福岡市管工事協同組合と共同で、光ファイバセンシングとAIを組み合わせた水道管の漏水位置特定技術の実証に成功した。地下に埋設された給水管から生じる微弱な振動を光ファイバで検出し、AIで解析することで、水平誤差75cm以内、正解率88%の精度で漏水位置を推定した。測定から解析までの所要時間は約15分で、熟練技術者の経験に依存してきた漏水調査の効率化につながる成果だ(ニュースリリース)。

国内では水道管の老朽化が進む一方、漏水調査を担う熟練技術者の不足や技術継承が課題となっている。従来の漏水調査では、漏水に伴う音を作業者が聞き分けて位置を推定する方法が用いられてきたが、高い精度で漏水箇所を特定するには長年の経験が必要だった。
今回の技術では、光ファイバを用いた分布型音響センシング(DAS)を利用する。DASは、光ファイバ内を伝搬する光の後方散乱光を観測し、その位相などの変化から振動を検出する技術である。NTTは、干渉雑音を抑えた独自の高精度DAS技術と、光ファイバを平面状に高密度配置した集積化光ファイバデバイスを組み合わせ、漏水による微弱な地中振動を捉える仕組みを開発した。
実証では、地下30~120cmに埋設された給水管の直上の路上にセンサーデバイスを設置し、約5分間の振動測定を実施した。取得したデータには周囲の環境雑音なども含まれるため、AIによって振動波形を解析し、周辺とは異なる特徴的な振動が生じている地点を漏水位置として推定する。
福岡市内の実環境で実証した結果、水平誤差75cm以内で正解率88%を達成した。漏水修理工事で目安とされる誤差80cm以内、正解率80%以上という水準を上回り、測定からAI解析まで約15分で作業を完了できることを確認した。
今回の成果は、現場に光ファイバセンサーを設置するだけで振動データを取得し、AIによって漏水箇所を自動推定できる点に特徴がある。従来は熟練者の聴覚や経験に依存していた作業を、専門的な技能を持たない作業者でも実施できる可能性を示した。
今後は、実証で得られたデータをもとにAI解析の精度を高めるとともに、現場での運用性を改善する。NTTは、全国の水道事業者や自治体への展開を目指し、老朽化した水道インフラの維持管理や人材不足への対応につなげる考えだ。





