光産業技術振興協会は,2024年度光産業全出荷額,国内生産額調査結果について調査結果をまとめた。この調査は同協会が1980年以来,毎年光産業の動向調査を実施しているもので,会員企業244社に対して調査票を発送して73社から回答を得たほか,各関連業界団体および調査会社の協力を得て作成した。
昨年度までは7つの製品分野別調査専門委員会を設け,調査を行なっていたが,今年度より情報記録調査専門委員会を入出力調査専門委員会に取り込み,6つの製品分野別調査専門委員会にて調査を行なった。
それによると,2023年度全出荷額(実績)は12兆4,035億円,成長率-3.5%,2023年度国内生産額(実績)は5兆9,290億円,成長率-3.2%となった。
入出力分野は,デジタルカメラ,カメラ付き携帯電話向けなどのイメージセンサの需要増加,性能向上及び動画撮影の増加によるミラーレス一眼デジタルカメラの需要増加などにより,全出荷,国内生産ともに増加となった。
レーザー・光加工分野は,半導体関連などの設備投資の回復によるエキシマレーザーの需要増加はあるものの,炭酸ガスレーザーとランプ・LD露光機が前年度の反動により大幅減少し,全出荷・国内生産ともに減少となった。
太陽光発電分野は,現制度での新たな事業認定件数の増加が見られず,全出荷・国内生産ともに減少となった。情報通信分野は,5Gシステムの設備増強が一段落し,光伝送機器・装置及び光伝送用部品は,全出荷・国内生産とも減少となった。
センシング・計測分野は,半導体,FAなどの設備投資増により,全出荷・国内生産ともにやや増加となった。ディスプレー・固体照明分野は,テレビ,ディスプレー素子などが減少し,全出荷・国内生産ともにやや減少となった。光産業全体として,全出荷・国内生産ともにやや減少となった。
また,2024年度全出荷額(見込)は12兆6,309億円,成長率+1.8%,2024年度国内生産額(見込)は5兆9,746億円,成長率+0.8%となった。
入出力分野は,デジタルカメラ,カメラ付き携帯電話向けなどのイメージセンサの需要が増加,ミラーレス一眼デジタルカメラの需要も継続し,全出荷は増加の見込み。ディスプレー・固体照明分野は,モニタ,LED照明器具などは好調だが,テレビなどが減少し,全体として全出荷・国内生産ともにやや減少の見込み。
センシング・計測分野は,半導体,FAなどの設備投資増,モビリティ用,医療用の新規需要増加などにより,全出荷・国内生産ともにやや増加となる見込み。レーザー・光加工分野は,前年度の反動によりランプ・LD露光機の大幅増加に加え,半導体製造工程への需要継続により固体レーザーも大幅増加となり,全出荷・国内生産ともにやや増加となる見込み。
情報通信分野は,生成AI需要拡大によるデータセンター設備投資増により,発光素子及び光コネクタが大幅増加となり,全出荷・国内生産ともにやや増加の見込み。
太陽光発電分野は,補助金を活用した導入や従来の導入制度に頼らない自主導入があったが,全出荷・国内生産ともに横ばいの見込み。光産業全体として,全出荷・国内生産ともに横ばいとなる見込みだとする。
さらに,2025年度全出荷(予測)および2025年度国内生産(予測)は横ばいとした。
入出力分野は,イメージセンサの需要継続,デジタルカメラなどの撮像機器,プリンタ・複合機の需要継続などから,全出荷はやや増加と予測している。ディスプレー・固体照明分野は,モニタ,プロジェクタの需要継続, LED照明器具が堅調だが、テレビ,ディスプレー素子の減少により,全出荷・国内生産ともにやや減少と予測している。
情報通信分野は,生成AI需要拡大によるデータセンターの設備投資継続により,全出荷・国内生産ともに横ばいと予測した。レーザー・光加工分野は,半導体関連などの設備投資の継続により,全出荷・国内生産ともにやや増加と予測している。センシング・計測分野は,設備投資の継続により,全出荷・国内生産ともにやや増加と予測した。
太陽光発電分野は,全出荷・国内生産ともに横ばいと予測した。光産業全体では全出荷・国内生産ともに横ばいと予測した。
今回の調査結果の詳細は2025年4月23日からパシフィコ横浜で開催される光技術総合展示会OPIEに併設した「光技術動向・光産業動向セミナー」で語られる予定で,月刊オプトロニクス5月号にも掲載するので参照されたい。