東北大ら,カラーレンズの姿勢制御への影響を確認

東北大学, Innochi,エスエイビジョン,三井化学ファインは,カラーレンズメガネの色の選択が,姿勢制御に影響することを確認した(ニュースリリース)。

自分や相手のウェアの色や環境色がスポーツの成績に関連する可能性が指摘されている。屋外活動では様々な色のサングラスが使われているが,バランス能力への影響については十分な科学的検証が行なわれていなかった。

研究グループは,2024年に赤・青・黄・緑のカラーレンズの中で,好みの色が必ずしもバランス能力に有利とは限らないという研究結果を報告したが,バランス能力に有利あるいは不利になる特定の色があるかどうかは,まだ解明されておらず,検査に用いた色も限定的だった。

今回の研究では,透明レンズを含む26色のカラーレンズを使用し,バランス能力を評価したという。

バランス能力は,開眼片脚立ち,およびジャンプ着地する際の重心調節能力について,床反力計を用いて精密に計測。各色のレンズで6回のテストを行ない,その結果,色によってバランス調節能力の指標である重心動揺面積が最適色では透明レンズより20%以上小さくなり,不適色では20%以上大きくなることが判明した。また,透明レンズに比べてバランス能力が低下する色や改善する色は,一人一人異なることも分かったという。

また,片脚立ちだけではなく,ジャンプして着地する際にも,特定の色がバランスに対して有利または不利であることが分かった。今回の実験は,白い背景の実験室環境で行なわれたが,結果の信頼性は高く信頼できるものと考えられるとしている。

実際の環境では,視界に入る色や形は複雑で動きや変化もある。そのため,実生活に応用するためには,まず自分でカラーレンズの効果を試してみることが必要。この研究成果は,登山や高所作業などの危険な場所での歩行時に,バランスを崩しやすい色を避けるための知見を提供するという。

研究グループは,今後,個人に最適な色を見つける方法を確立し,人によって異なるカラーレンズの色がバランスに影響をするのか,その神経機構の解明を進めていくとしている。

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