東栄電化工業は,同社の「低反射アルマイト」が神奈川工業技術開発大賞を受賞したと発表した(ニュースリリース)。
「神奈川工業技術開発大賞」は,神奈川県と神奈川新聞社が共催し1984年度から,技術開発の奨励と技術開発力の向上を図ることを目的に,県内の中堅・中小企業が開発した優れた工業技術・製品を表彰している。
今回21件の応募の中から,「大賞」1件,「奨励賞」3件,「未来創出賞」3件を選考した。大賞を受賞した同社は,紫外~可視~赤外領域の光を効果的に吸収しつつ,膜強度を飛躍的に高めた低反射材料「低反射アルマイト」を開発した。
測定機器や分析機器など光を利用するセンサーを用いる機器では,わずかな光ノイズや光反射でも計測誤差を引き起こし,問題となることから光を吸収する部材を使用していたが,従来の低反射材料は,脆い・発塵(粉状のゴミが出る)・高コスト・部材形状が限定される・環境負荷が高い等の課題があった。
この製品は同社が独自に開発した低反射の艶消し黒色アルマイトで,可視光のほか紫外線や赤外線も吸収する。耐久性の高い色材を,特殊技術により強固なアルマイト皮膜の中に封入し,光吸収性を向上している。光学特性以外にも耐食性や硬さ,耐熱性,耐紫外線等も兼ね備えたアルマイトとなっているという。
同社は幅広い波長域の光を効果的に吸収するための適切な色材の選定と調合を行なうため,数多くの色材を選定し,様々な条件のもと実験を繰り返し,最適化を図ったという。
さらに,耐摩耗性や耐光性を持たせるため,熱や紫外線に対して分解しない材料を選定し,独自の皮膜構造シミュレーション技術を用いることで課題を解決した。これらの開発工程を経て,幅広い波長領域での吸収性能と高い耐久性を両立し,複雑な形状にも適用できる低反射アルマイトが完成したという。
用途として,紫外~可視~赤外域の光センサー,LiDAR,分析機器,測定機器,検査装置,生産設備,制御機器において,迷光防止,高コントラスト化,高出力光の装置外への漏れ防止,光学的信号,ステルス性能といった目的で採用が検討されているとしている。