浜松ホトニクスは,国立天文台や東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU),米プリンストン大学,英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンなどが本格稼働を発表した「すばる望遠鏡の超広視野多天体分光器 Prime Focus Spectrograph(PFS)」に向けCCDイメージセンサを開発,提供したと発表した(ニュースリリース)。
すばるPFSプロジェクトは,最先端の科学の力による宇宙観測計画。ハワイ島マウナケア山頂域の国立天文台すばる望遠鏡に,最大2400もの天体を一度に観測できる装置を新たに取り付け,観測を行なうという。
この分光器は,すばる望遠鏡の主焦点に設置する分光装置で,直径およそ1.3度にわたる主焦点の広大な視野内に,約2400本の光ファイバーを配置し,それぞれを観測したい天体の方に向けて,多数の天体からの光を同時に分光装置に取り込む。
そして,天体からの光を波長ごとに分散させてスペクトルとして同時に取得する。一度に検出できる波長範囲は,波長380nmの近紫外光から波長1260nmの近赤外光まで及ぶ。この広い波長範囲をカバーするため,異なる波長範囲の光を検出する3種類の光検出器が採用されている。
同社は,これらのうち波長380nmから650nmまでの光を検出するCCDイメージセンサと波長630nmから970nmまでの光を検出するCCDイメージセンサを開発,提供した。これら2種類の検出器は,それぞれの波長範囲に合わせて最適な設計・製造を行ない,高感度を実現しているという。