大日本印刷(DNP)は,半導体製造の最先端プロセスのEUV(Extreme Ultra-Violet:極端紫外線)リソグラフィに対応した,2nm世代以降のロジック半導体向けフォトマスクに要求される微細なパターンの解像に成功した(ニュースリリース)。
近年,最先端のロジック半導体ではEUV光源を用いるEUVリソグラフィによる量産がさらに進み,メモリ半導体においてもその採用が拡大するなど,最先端半導体の供給にEUVリソグラフィが欠かせないものになっている。
同社は,2023年に,3nm世代のEUVリソグラフィ向けフォトマスク製造プロセスの開発を完了した。2024年には,Rapidusが参画している新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」に再委託先として参画し,最先端ロジック半導体向けフォトマスク製造プロセスおよび保証にかかわる技術を開発している。
今回同社は,先端領域の半導体製造に向けて,2nm世代以降のロジック半導体向けフォトマスクに要求される微細パターンを,EUVリソグラフィ向けフォトマスクへの解像に成功した。
また,2nm世代以降の次世代半導体向けに適用が検討されている高開口数(高NA)に対応したフォトマスクの基礎評価が完了し,半導体開発コンソーシアムや製造装置メーカー,材料メーカー等へ評価用フォトマスクの提供を開始したという。
2nm世代以降のEUVリソグラフィ向けフォトマスクの実現には3nm世代に比べて,20%以上縮小されたパターンが要求される。サイズだけでなく形状も一般的な直線や矩形パターンだけでなく,複雑さを増した曲線パターンを含めた,すべての微細なパターンを同一マスク上で解像させる技術が必要となる。
同社は確立済みの3nm世代の製造プロセスをベースに改善を重ねることで,2nm世代以降に要求されるパターンの解像を達成した。
高NA-EUVリソグラフィ用のフォトマスクについては,通常のEUVリソグラフィ用に比べ,より高い精度と微細な加工が要求される。同社は通常のEUVリソグラフィ向けフォトマスクとは異なる製造プロセスフローを構築した上で最適化を行なったという。
同社は,今後,製造の歩留まり向上などの生産技術の確立を進め,2027年度の2nm世代ロジック半導体向け量産フォトマスク供給開始を目指すとしている。