京大,実用化へフォトニック結晶レーザー研究所設立

京都大学は,フォトニック結晶レーザー(PCSEL : Photonic-Crystal Surface-Emitting Laser)研究の実用化への橋渡しを目的とした「一般社団法人 京都大学フォトニック結晶レーザー研究所」を,桂キャンパスAクラスターA1棟内に設置した(ニュースリリース)。

フォトニック結晶レーザーは,1999年に京都大学 大学院工学研究科 電子工学専攻 光量子電子工学分野 野田進教授(当時,准教授)により発明され,その後,様々な基礎研究を積み重ね,極最近(2018年以降)の,2重格子構造の導入による高輝度化,複合変調構造の導入による高機能化などのブレイクスルーを経て,その性能が飛躍的に向上した。

この性能向上に伴い,同大学内にフォトニック結晶レーザー拠点(PCSELCOE)を2020年に設置したが,この拠点への問い合わせは現在,140社を超え,同学と連携する民間企業や公的機関の数は,延べ50社を超えているという。

これまで,実用化のための橋渡し機能を,大学拠点(PCSEL-COE)にて,可能な限り果たしてきたが,大学研究者の時間的負担が増加すること,また企業からの要望に十分応えきれないなどの課題もあった。

今回,新たに設立した法人が,実用化のための橋渡し機能の中心を担うことで,より実践的な研究開発や普及活動等が可能になり,実用化が加速できるようになると期待される。また,同大学(PCSEL-COE)は,新法人とも連携しつつも,基礎研究により多くの時間を割くことが可能となり,さらに新たな学術成果(次の新たな社会実装のための研究成果含む)を生み出す環境を整えることが可能になると期待されるとしている。

橋渡し法人の設置は,2024年4月1日に発足した成長戦略本部の企画に基づき,工学研究科 電子工学専攻 光量子電子工学分野と連携して実現した,アカデミア主導型の実用化促進モデル。今後も成長戦略本部では,同学の研究成果のアカデミア・イニシアティブによる実用化を推進していくという。

事業内容は以下の通り。

項目内容
研究開発応用および社会実装に係る研究開発
ネットワーキング,普及活動産業界・自治体・官公庁等との連携,窓口対応,情報提
供・発信
素子提供フォトニック結晶レーザーの提供
装置類の貸出・技術支援・指導装置のビジネス貸出,作製・評価等に係る技術支援・指
人材育成技術者・研究者育成

なお,「京都大学フォトニック結晶レーザー研究所」については,月刊OPTRONICS 2024年12月号特集「フォトニック結晶レーザーとその応用展開」中の総論でも触れているのでご覧いただきたい。

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