ギガフォトンと早稲田大学はKrFエキシマレーザと深紫外域回折光学素子(DOE)によるマスクレス同時多点加工技術を開発した(ニュースリリース)。
シリコンやガラスを材料としたインターポーザにより半導体チップと基板を高密度に接続する技術(2.5次元化,3次元化)が求められている。しかし,シリコンを用いたインターポーザは高コストかつ誘電率が大きいため配線による電力ロスが大きく,代替として期待されるガラスも微細穴あけ加工が難しいという問題があった。
そこで,ギガフォトンはガラスの難加工性の問題を解決するためKrFエキシマレーザーと深紫外域回折光学素子(DOE)を組み合わせた高生産性微細穴あけ加工方法を考案した。しかしながら,その実現には,回折後の光を微細かつ均一に照射する必要があるため,DOEの高性能化およびDOEを用いるための技術開発が課題となっていた。
そこでNEDOはこうした課題を解決できる技術として,ギガフォトン,早稲田大学と共同で,インターポーザ用難加工材(ガラス材料)への高生産性微細貫通穴(TGV)加工技術開発に取り組んできた。
今回,KrFエキシマレーザーと深紫外域DOEを組み合わせることにより,高効率マスクレス同時多点加工方式を実現し,難加工材における高生産性微細加工技術を開発した。具体的には,①DOEを用いた深紫外域同時多点加工光学系の開発,②高ビーム品位KrFエキシマレーザ光源の開発,③アブレーション学理研究による難加工材微細穴の高生産性照射プロセス開発を実施した。
これにより,ガラス材料への微細穴加工かつ高生産性を得るためのレーザ照射要素技術が得られたとする。
高生産性微細加工技術の開発で実現した技術をもとに,加工実証装置を製作した。この実証装置にて,板厚100μmのガラス材料に対してマイクロビアを加工径20μm以下,アスペクト比5以上,かつ毎秒1000穴以上の直接加工生産性を達成したという。
これにより,高生産性微細加工技術の開発での成果を装置レベルで実証することができ,同時にこれまで問題であったガラス材料への微細穴加工,加工生産性を解決できることを実証したとする。
ガラス板厚200μmにおいても加工径20μm以下,アスペクト比10以上,かつ毎秒1000穴以上の加工生産性が得られる見込みだとし,ギガフォトンではさらにガラス板厚1000μm以上の材料に対する加工径20μm以下,アスペクト比50以上の実証試験を進めていくとしている。