米COMSOLは,効率的な物理モデリングおよびシミュレーションアプリ開発のための新機能と機能アップデートを提供する「COMSOL Multiphysicsバージョン6.3」のリリースを発表した(ニュースリリース)。
新バージョンには,自動ジオメトリ準備ツール,加速化された音響シミュレーションおよび代理モデルトレーニングのためのGPU サポート,新しい放電モジュール,インタラクティブなJava環境などが含まれている。
音響モジュールでは,時間領域での圧力音響のシミュレーションを最大25倍高速化するGPUサポートと, 時間領域での異方性材料および周波数依存材料特性のモデリングのサポートを含む多孔質音響の新機能が提供できるようになったという。
過渡音響シミュレーションの新しいGPUサポートは,自動車のサウンドシステムの開発やオフィスや住宅スペースの音響の最適化に取り組むエンジニアにとって非常に貴重となっている。音響シミュレーションを高速に作成できることは,最終的にユーザーが新しい設計の反復や製品の革新をより迅速に開発するのに役立つとしている。
また,今回のリリースでは,大気圧ガス放電,変圧器油などの液体の破壊現象,絶縁ポリマーなどの固体材料など,幅広い放電シナリオにわたる強力なシミュレーション機能を提供する電気放電モジュールも導入されている。
電気放電モジュールにより,民生用電子機器から高電圧システムまで,あらゆるものの設計に役立つ新しいモデリング機能が利用可能になる。放電現象には複数の物理現象が関係しており,同社のモデリングツールの潜在能力を最大限に活用するのに最適だとしている。
■新バージョンのその他の特徴は次のとおり。
・代理モデル作成のための効率的なデータサンプリング
・薄い構造の電気機械モデリング,水分誘起膨張用ツール,スポット溶接とファスナーの簡素化されたワークフロー
・MEMSデバイスのより正確な静電力計算,モーターと変圧器の積層鉄の効率的なモデリング,波動光学における周期構造のより簡単なモデリング
・レイノルズ応力乱流モデル,多孔質媒体の非ニュートン流,非平衡水分輸送による高速乾燥シミュレーションの組み込み
・粒子サイズ分布による粒子の核形成と成長の沈殿と結晶化シミュレーション