京セラは,世界で初めてカメラとLiDARの光軸を一致させ,ワンユニット化した「カメラ-LiDARフュージョンセンサ」を開発したと発表した(ニュースリリース)。
自動運転など,モビリティの自律化に向けてさまざまなセンシング技術が開発される中,複雑な環境や高速移動中に障害物を正確に検知するために,長距離かつ精度の高い3D情報を瞬時に取得できるLiDARは,必須のデバイスとされている。
LiDARはレーザー光を広域で照射し,反射光が跳ね返ってくる時間や角度から,物体までの距離やサイズなどを特定する優れた空間認識能力を持っている。しかし,対象物が何かをより正確に把握するために,カメラと併用されるケースが多くある。
従来は,別々のユニットであるカメラとLiDARから得られるデータに視差があるため,センサ間のキャリブレーションが必要となり,遅延を引き起こすことが課題とされていた。
この製品は,独自の光学設計技術により,カメラとLiDAR,2つのデバイスを一つのユニットにおさめ,光軸を一致させることに世界で初めて成功した。これにより,それぞれの検知結果を統合させるプロセスが非常に容易となり,遅延なくリアルタイムにカメラの画像データとLiDARの距離データを統合し,高度な物体認識を可能にしたという。
またLiDARは,レーザー光を照射する密度を高めることにより解像度が上がり,長距離の小さい障害物なども認識できるようになる。この製品は,複合機・プリンターなどの開発で培ってきた独自のレーザースキャンユニットの技術を応用することで,世界最高となる0.045度の照射密度を実現した。これにより,100m先の30cmの落下物も検知することが可能だとしている。
LiDARにおいて,レーザー光を広範囲・高密度で照射するためにMEMSミラーもしくはモーターが必要となる。しかし,MEMSミラーは解像度が低く,一方モーターは高解像度ながら摩耗が早いという課題があった。
この製品は, レーザースキャンユニット技術による高解像度と同時に,同社技術を応用した独自開発のMEMSミラーを採用することにより,モーター式を上回る高解像度と,従来のMEMSミラーを上回る耐久性の両立を実現した。自動運転車両の障害物検知はもちろんのこと,船舶や重機など,さまざまな環境下での高精度なセンシングをサポートするという。
さらに,MEMSミラーから,光学系,電気回路,ソフトウエアまで同社で開発しているため,用途に合わせたカスタマイズが可能だとしている。