三菱電機は,「超薄型・高効率ヘッドライトを実現するRIR光学技術の開発と実用化」と「プリント基板穴あけ用レーザー加工機向けトランスレス高周波高電圧インバータ技術」および「電鉄・電力システムの安定稼働を支えるパワーデバイスの耐湿環境性能の向上」に関する3つの技術が,令和6年度「第72回電気科学技術奨励賞」を受賞したと発表した(ニュースリリース)。
電気科学技術奨励賞は,公益財団法人 電気科学技術奨励会が,電気科学技術に関する発明,研究・実用化,教育などで優れた業績をあげ,日本の諸産業の発展および国民生活の向上に寄与し,今後も引き続き顕著な成果の期待できる人を表彰するもの。
「超薄型・高効率ヘッドライトを実現する RIR光学技術の開発と実用化」は,従来のリフレクターを用いず,レンズの屈折作用と全反射作用のみで必要な配光を実現できる。その結果,高さ20mmのレンズにおいて,光利用効率を従来方式の1.8倍に向上させ,従来一般的な高さ40~60mmのレンズと同等以上の明るさを確保した。
これにより,超薄型で高効率なヘッドライトを実現し,デザイン性,省エネ性を向上した。また,部品数を従来方式より削減して部品同士の位置関係を従来方式の約30倍高精度に配置できるようにしたことで,製造性も大幅に向上した。
「プリント基板穴あけ用レーザー加工機向けトランスレス高周波高電圧インバータ技術」は,ユニット内の多数のMOSFETを同時にスイッチングさせる高速ドライブ回路と,高い絶縁性能を持ちドライブ回路に電源を供給する独自のドライブ電源を組み合わせることでMOSFETをばらつきなく高速に制御し,同社製レーザー加工機の穴あけにおいて最高速度である毎秒7,000穴を実現した。
「電鉄・電力システムの安定稼働を支えるパワーデバイスの耐湿環境性能の向上」は,パワー半導体チップの終端領域に,新しい電界緩和構造と表面電荷制御構造を適用し,終端領域を30%低減しつつ,従来比100倍の耐湿環境性能を可能としたことで,高出力・低損失と耐湿環境性能の両立を実現した。
この技術を活用したパワー半導体が,さまざまな環境下で走る鉄道車両や洋上風力発電設備からの高圧直流送電システムなどに搭載され,安定稼働を支えているという。
受賞式は,11月22日(水)に学士会館(東京都千代田区)にて行なわれる。