オーストリアams OSRAMは,長距離LiDAR向け8チャンネルパルスレーザー「SPL S8L91A_3 A01」を発売した(ニュースリリース)。
この製品は,QFNパッケージを採用した8チャンネル915nm 表面実装(SMT)パルスレーザーで,ピーク光出力:1,000W,発光効率:最大30%となっている。
乗用車やトラック,ロボタクシーなどの自動運転車向けのLiDARシステムへの組み込みを想定しており,この製品によって,車両の操作,ナビゲーション,データ処理能力の向上が期待できるとする。
同社は,20年以上にわたり,車載LiDAR向けパルス赤外線レーザーの開発と製造を手掛けてきた。これまでに,約2,000万個以上の赤外線レーザー製品が出荷されており,今回,世界初となるAEC-Q102認定8チャンネルEEL(端面発光レーザー)が製品ポートフォリオに加わる。
このレーザーは8チャンネルのレーザーダイオードがモノシリックに組み込まれており,1レーザーチャンネルあたり125W,合計1,000Wのピーク光出力を実現する。4つのアノードパッドを備え、各アノードが並列動作する2つのレーザーチャンネルに接続されており,2チャンネルずつを個別に駆動させることができる。
単一レーザーパッケージの採用により,小型で効率的なセットアップが可能になり,複数のコンポーネント間での調整が不要になるため,設計と製造のプロセスが簡素化される。これにより,開発期間が短縮されるだけでなく,最終製品の信頼性とパフォーマンスが大幅に向上されるという。
独自開発による波長安定化テクノロジーを採用し,温度変化による波長シフトを最小限に抑えることで,LiDARシステムの信号対雑音比(SNR)を改善し,検出距離を拡大する。
また,自動車業界の厳格な要件を満たすべく設計されており,AEC-Q認定規格に合格している。QFNパッケージ技術の耐久性は車載環境に対応し,自動運転以外でも,ロボット工学やセキュリティ監視システム,スマートシティ,ラストマイルデリバリーなどの産業用途において,システムのパフォーマンスを向上するとしている。