矢野経済研究所は,自動車の車室内センシング市場を調査し,デバイス分類別,研究機関の動向,将来展望などを明らかにした(ニュースリリース)。
それによると,自動車へのADAS(先進運転支援システム)や自動運転機能の搭載が進む中,「眼の機能」であるカメラモジュールが果たす役割は非常に大きく,自動車1台当たりの車載カメラの搭載台数は増加し続けている。
サプライヤーやIT/Techベンダーでは,レベル4(Lv4)高度自動運転を実現した車両においては車載カメラ搭載台数が10台を超える高級車も出てくると言われているという。
現在,乗用車向けのドライブレコーダーの多くはカー用品店や自動車ディーラーで販売・取付けされ,車載カメラ情報の録画・録音,位置情報記録,衝撃検知録画,駐車時録画などの機能を持っている。さらに,追突防止・速度超過・車線逸脱・発信遅れへの警告(アラート)など,安全運転をサポートする機能も実現している。
主に事故や防犯上のためにデータを記録するドライブレコーダーであるが,将来的には車両固有のADASとの一体化や高精度三次元地図作成機能の搭載など,映像データの解析や収集なども行なうことになると考えられるという。
将来展望について,これからのドライブレコーダーは,映像の高画質化とともに,高度なセンシング技術の搭載がスタンダードとなり,アフターマーケットの製品から車両装備として標準化されていくと予測する。
ドライブレコーダーはAI機能を取り込むことで,インカメラとアウトカメラを使い分けられるようになり,インカメラではドライバーモニタリングシステム(DMS)として車室内センシングを行なうことでドライバーや他の乗員を監視し,危険運転の予防や危険運転につながる状態の察知などを行なうという。
一方,アウトカメラでは急加速や急発進の記録や目の前の状況に対する警告などを行なう。日本国内での標準搭載の純正ドライブレコーダー的な製品の搭載率は,2030年には1%程度になる見通しだという。このように,未来のドライブレコーダーは,車両に標準搭載されたセンサー類やEDR(イベントデータレコーダー)などに準じた立ち位置となっていくと考えるとしている。