マクニカは,同社第2ビル横にフード・アグリテック分野におけるオープンイノベーション拠点となる「Food Agri Tech Incubation Base」を設置し,次世代植物工場の開発・実装に向けた設備と体制を構築したと発表した(ニュースリリース)。
世界人口が増加し十分な量の食料調達が困難になっていくことが想定される世界情勢の中で,食料生産に必要な水や土地などの資源不足,農業就業人口の減少と高齢化といった問題が顕在化している。さらに,地球温暖化による異常気象や自然災害も重なり,生産基盤の維持が難しくなっている。
これら食と農の社会課題について,同社は持続可能な地球環境を創るをマテリアリティ(重要課題)の一つと位置づけ,土地や環境に依存せずに作物の収量・品質を安定させる栽培方法である環境制御型農業(CEA)の推進に取り組んでいる。
環境制御型農業は,栽培環境にセンサーやAI,ロボティクスなどのテクノロジーを導入し,人の作業工数削減,栽培ノウハウの継承,特定の成分に特化した高価値な作物の開発などを実現するもの。
こうした環境制御型農業は,データを収集してそれを蓄積・解析し,現実世界へフィードバックするという,サイバーフィジカルシステムによって成立する。
この拠点は,フードアグリテック分野でのデータを共創パートナーとともに収集するための施設だという。NEXTAGEのわさび栽培モジュールをベースとしている。内部は,NEXTAGEと共同開発を行なう栽培エリアと,オープンイノベーションの場としての共創エリアに分かれている。
同社は半導体事業で培った各種センサーやエッジAIなどリアル空間におけるハードウェアの知見,ネットワーク事業やAI事業で培ったサイバー空間におけるソフトウェア開発やデータ蓄積・AI解析の技術と掛け合わせることで,サイバーフィジカルシステムの領域を拡大していくとしている。