2023年,CNT世界出荷量は10,000tを超える見込

矢野経済研究所は,2023年のカーボンナノチューブ世界市場を調査し,製品セグメント別の動向,参入企業動向,将来展望を明らかにした(ニュースリリース)。

それによると,2023年のカーボンナノチューブ(CNT)世界市場規模は,メーカー出荷量ベースで前年比150.4%の10,986tになる見込みだという。

自動車メーカー(OEM)各社が電動化を加速させ,2021年にはxEV(EV,HEV,PHEV)の世界生産台数は大幅な伸長率を示しており,CNT世界市場は車載用リチウムイオン電池(LiB)の導電助剤用途の需要が拡大している。

しかしながら,2022年には主要国の補助金政策の変更などに伴い,xEVの市場成長に鈍化の兆しがみられ,2023年も減速感が強まっている。CNTの需要もxEV市場の好不調の影響を受け,概ね同様の傾向で推移しているものの,2023年は韓国LiBメーカーによる多層CNTの採用が拡大したことから,前年比150.4%の成長率になると見込みだという。

今回の調査で注目した2023年における多層CNTの世界市場規模は,メーカー出荷量ベースで前年比142.8%の10,940tになる見込みだという。多層CNTの地域別需要構成比をみると,中国がおよそ75%を占める一大需要地となっている。

また,ここ数年は導電助剤として多層CNTを採用した韓国LiBメーカーが欧州向けの出荷を拡大させていることなどから,需要地として欧州のシェアが高まる傾向にある。

足元では北米での需要も増えており,相対的に需要地としての日本のシェアが低下している。その他の地域は,韓国や東南アジアなど。

将来展望については,今後も,車載用LiBの正極材におけるリン酸鉄リチウム(LFP)の復調と三元系(NCM)のハイニッケル化が追い風となり,多層CNTの需要は高い成長率が続く見通しだとしている。

また,単層CNTでもxEVの急速充電性能向上に向けた,シリコン負極材への導電助剤適用の広がりとともに,車載用LiB向けの需要が本格化する見込みだという。こうしたことから,CNTの世界市場規模は2028年には5万tを超えるものと予測した。

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