古河電工,ラマン増幅用デュアルポート励起光源開発

古河電気工業は,高出力低消費電力駆動のラマン増幅器用励起光源において,省スペースS-,C-,L-帯用ラマン増幅器用デュアルポート励起光源の開発に成功した(ニュースリリース)。

通信伝送速度の高速化に伴い,信号受信側のOSNRの劣化により伝送距離が短尺化し,特に既存の通信システムを活用して高速化する場合,信号光の品質を劣化させずに光出力を増幅するラマン増幅器の役割がより重要となってくる。

また,高速伝送により信号の波長幅が拡がるため,大容量伝送を行なうためには波長帯域の拡大が必要となり,励起用光源の波長を選択することで任意の信号光源を増幅できるラマン増幅器には高い柔軟性が求められる。

一方で,今後S-,C-,L-帯への帯域拡張を鑑みると,使用される励起光源の数が増加するため,省スペースでの高出力低消費電力駆動の励起光源が一層重要になる。

同社は,2022年10月にC帯用途での800mW動作を達成し,さらにS帯用途700mW,および低消費電力駆動のL帯用途500mW品を拡充し,「FRL1441U」シリーズとして4月よりサンプル出荷を行なっている。

「FRL1441U」シリーズの製品化により,S-,C-,L-帯において既存のラマン増幅器用励起光源の消費電力を37%削減し,従来2台使いの励起光源を1台に置き換えることでの省スペース化が可能となった。

今回,さらなる省スペース化の対応として,従来と同一の14ピンバタフライパッケージを用いた2つの光出力ポートを有するラマン増幅器用デュアルポート励起光源を開発した。

14ピンバタフライパッケージの中に2種類の半導体レーザチップを配置し,光結合技術により光ファイバに集光する構成で,現在の主力製品である500mW出力の「FOL1439R」シリーズに搭載されるチップを用いて試作した電流-光出力特性では,2ポート分の全駆動電流に対し,2ポート分のファイバ出力の合計値となった。

この結果から,「FOL1439R」シリーズで500mW出力2台分の出力である1Wの出力が1台のモジュールから得られていることが確認できた。また,レーザ温度35℃/ケース温度70℃時の2ポート分の全光出力に対する2ポート分の全消費電力は,2ポート全体の光出力が1Wの時,消費電力は15W,1ポートあたり7.5Wとなり,500mW出力の「FOL1439R」シリーズの消費電力と比較しても遜色のない特性が得られている。

同社は今後,さらなる高出力化,低消費電力化のため,より高出力低消費電力駆動のレーザチップの開発を進め,この製品の一層の高性能化を進めていくとしている。

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