ニコンは,パワー半導体,通信用半導体,MEMSなど様々なデバイスに対応し,同社の既存のi線露光装置との互換性が高い縮小投影倍率5倍i線ステッパー「NSR-2205iL1」を発売すると発表した(ニュースリリース)。
電気自動車や高速通信,様々なITデバイスの普及が進む中,これらを支える半導体への需要は高まっている。こうした半導体への要求性能は多岐に渡り,露光装置に対するユーザーの要望も複雑化,高度化している。
同社は,これまでは中古装置のリファービッシュ等で旺盛な需要に応じてきた。ユーザーへより最適なソリューションを提供すべく,ユーザーとの伴走活動を通じて得た知見をもとに,露光装置の老朽化・需給ひっ迫が進む縮小投影倍率5倍のi線露光装置市場へ新製品を展開することを決定した。
さらに,多様なニーズに対応する各種オプションを拡充することで,半導体製造装置を通じてユーザーの半導体デバイス生産を長期的な視点で支えていくとしている。
この製品は,多点オートフォーカス(AF)によるウエハー計測の高精度化とウエハーステージのレベリング性能の高度化,Wide DOF(焦点深度の範囲拡大)等により,様々な半導体の製造プロセスにおいて歩留まりの水準を維持しつつ,高い生産性を実現するという。
加えて,ウエハーの厚さや大きさ,反りの許容範囲が広く,SiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)などの素材にも適応しているため,用途に応じて幅広く使用することが可能だという。このような多様なニーズに対応しつつ,高いコストパフォーマンスを実現した。
また,同社のi線露光装置を保有するユーザーであれば,持っている資産(マスク,レシピ等)が利用でき,既存装置との置き換えが容易だという。
さらに,部品の一部を特注品から市場で流通している汎用品に切り替えたことにより,従来よりも部品の手配が容易になり,長期間安心して使用することができるとする。
同社ではこの製品の発売時期を2024年夏頃に予定している。
この製品の主な性能は以下の通り。
・解像度→≦350nm
・NA(開口数)→0.45
・光源→i線(波長:365nm)
・縮小倍率→1:5
・最大露光領域→22mmx22mm
・重ね合わせ精度→SMO:≦70nm