島津製作所は,マイクロプラスチック自動前処理装置「MAP-100」を8月31日より発売を開始したと発表した(ニュースリリース)。価格は200万円~(税抜)。
この製品は海や河川,湖沼など環境水中のマイクロプラスチックの抽出・回収工程を自動化した世界初の専用前処理装置。機器によるマイクロプラスチック分析の前には,夾雑物や表面に付着する物質を除去する工程が必須。
従来,煩雑で手作業が中心だった前処理工程を装置に置き換えることで,「業務の効率化」「前処理結果の品質向上」「安定した再現性」「安全性」の確保につながるとしている。
マイクロプラスチックとは,波や紫外線などによって砕かれ,5mm未満となった微細なプラスチック。生物が摂取して臓器に蓄積することで,人体をはじめとする生態系全体への影響が懸念されている。その分布実態の把握には,試料(環境水)に含まれるマイクロプラスチックの特定が欠かせない。
正しい結果を得るために,規定に従って採取した試料から夾雑物やプラスチック表面に付着している物質を取り除く前処理が必要。マイクロプラスチックの前処理は,草木や微生物など有機物を溶かす「酸化処理」と,砂や粘土といった無機物を分ける「比重分離」からなる。
手作業中心の前処理は煩雑で難易度が高く,工程の効率や品質にバラツキがあった。この製品は環境水から得られるマイクロプラスチックを含む試料に対し,両工程および試料に含まれる粒子の回収までを自動で実施する。
この製品は,環境省が今年3月に公開した「河川・湖沼マイクロプラスチック調査ガイドライン」の附随書において「標準的仕様作成のために検討した装置」として掲載されている。
また,この製品の制御ソフトウェアはシンプルな画面で構成され,各条件を直感的に設定できる。処理の進捗状況や完了予定時刻を確認できるため,業務効率を改善するとしている。
同社は,プラスチックの種類を判別するフーリエ変換赤外分光光度計や,個数や形状を測定する粒子画像撮影装置など,マイクロプラスチック分析に活用可能な製品を多数販売している。
マイクロプラスチック分析の入口となる前処理工程をこの製品によって自動化することで,多角的な環境調査・研究に貢献するとしている。