ニコンは,医療機器として日本初のデジタルイメージングマイクロスコープ「ECLIPSE Ui(エクリプス ユーアイ)」を開発,子会社のニコンソリューションズが販売すると発表した(ニュースリリース)。
病理検査を行なう臨床現場においては,病理医の不足や長時間の観察による使用者の疲労蓄積など,いまだに課題があり,また,病理診断は判断が難しいケースが多く,同施設または離れた医療機関にいる他の医師に意見を求めることが日常的だという。
そのため,従来はプレパラート標本を委託先に送付したり,受託側の医師が委託先に赴いたりするなど,時間や距離の面で制約があった。
こうした課題に対し同社は,接眼レンズをなくしてディスプレーで観察画面を共有することにより,病理医の身体的負担を軽減し,病理診断のワークフロー改善に貢献するこの製品を開発。標本全体と任意の箇所の詳細を同時にディスプレー表示することにより病理診断の効率化を促すとともに,遠隔地にいる医師とのデータ供覧もサポートするとしている。
この製品は,標本をセットしてから最大2.5秒で画像をディスプレーに表示。医師が接眼レンズをのぞく姿勢をとらずに自然な姿勢で観察,病理診断業務を行なうことができる。また,ディスプレーで観察画面を共有できるため,病理診断に伴うディスカッションにも適しているとし,病理医の身体的負担を軽減するとともに,病理診断のワークフロー改善に貢献する。
また,標本全体を俯瞰できるマクロ画面と,任意の箇所の詳細を表示するミクロ画面を,同時にディスプレー表示することが可能。マクロ画面でマーキングした箇所をワンクリックで表示させることや2点間距離の測長などができ,観察の効率化に寄与するとしている。
同社は今後,この製品を米国や欧州を含む海外に順次展開することで,病理診断のワークフロー改善を通じて,病理医を支援していくという。