QDレーザは,アイオーコアより量子ドットレーザーを6万個量産受注し,5月より出荷を開始すると発表した(ニュースリリース)。
量子ドットレーザーは,直径約10nm(ウイルスの1/10程度のサイズ)の半導体量子ドットを活性層に用いて,光を増幅,発振する半導体レーザー。①摂氏マイナス40度から120度近辺まで電流無調整で動作する,②200度以上の超高温でも動作する,③高信頼で長寿命,④シリコンフォトニクスチップに低雑音でレーザー光を導入できる,という特長を持つ。
QDレーザは,この量子ドットレーザーを世界で唯一量産する能力を有し,これまでに450万個の量子ドットレーザーチップを光通信市場に供給してきた。さらに今回,アイオーコアと共同でシリコンフォトニクスの大容量伝送を可能にする「4チャンネル量子ドットレーザー」の開発に成功し,今回の量産受注に至ったという。
今回出荷する量子ドットレーザーは,光配線用シリコンフォトニクスチップ「IOCore(製品名)」に搭載される。IOCoreは超小型(5mm角)光配線チップで,高温度となるLSIの光配線に量子ドットレーザーを用いることによって,100度を超える高温環境でも,高信頼性,低コストを実現し,超高速(100~500Gb/s)で動作する。
量子ドットレーザーは自ら光ることができないシリコンフォトニクスチップに不可欠の光源であり,半導体LSIを従来の銅配線ではなく高速の光配線で直接つなぐことにより,コンピュータの情報処理速度が飛躍的に向上するとする。
今回量産を開始する量子ドットレーザーとIOCoreは,今後数年間で全世界のデータセンターサーバ,5G/6G基地局,AIエンジン,医療機器,航空機,自動車等の様々な応用分野を対象に実装される予定。
QDレーザは,年間数千万台の光通信用レーザー市場に匹敵する巨大な光配線市場の立上がりに向けて,量産体制を強化していくとしている。