名古屋大学らが参加する米国とイタリア主導による国際共同プロジェクトは,X線偏光観測衛星「IXPE(Imaging X-ray Polarimetry Explorer)によって超新星残骸カシオペア座A(Cas A)を観測した(ニュースリリース)。
IXPEは2021年12月9日に打ち上げられた世界初のX線偏光撮像衛星であり,Cas AはIXPE衛星が一番最初に科学観測を行なった天体。今回,超新星残骸であるCas AをIXPEによって偏光観測する事で,目に見えない磁場の様子を可視化することに成功した。
超新星残骸では,星の爆発で外縁部に形成された衝撃波により,粒子が光の速度近くまで加速される。X線放射は最近加速された粒子により,衝撃波の近傍のみで生み出されるので,衝撃波に沿った円弧状に揃った磁場と高い偏光度が予想されていた。
この結果は,研究グループの予想とは異なり,磁場は全体的に見れば中心から放射状に伸びていることが分わかった。また偏光度も低かったことから,粒子が加速される現場で,磁場が入り乱れていることを示しているという。
Cas A 以外の超新星残骸も観測されていることから,研究グループは今後の結果が期待されるとしている。