浜ホト,マイコン・温度センサ不要のLiDAR用APD開発

浜松ホトニクスは,セルフバイアスジェネレータ(Self-Bias Generator:SBG)を一体化した産業用LiDAR向けアバランシェ・フォトダイオード(APD)アレイ,「Gain Stabilized(ゲイン スタビライズド)Si APD S16430-01CR」を開発した(ニュースリリース)。

この製品は,SBGと電流を電圧に変換するための信号処理回路であるTIAを同一パッケージに内蔵した,16チャンネルの産業用LiDAR向けAPDアレイ。APDアレイとは,電圧をかけることで光の信号が増倍されるAPDを同一チップ内に複数チャンネル配列した光センサ。

通常のフォトダイオードと比べ,より微弱な光を高感度に検出し遠くの物体までの距離を測定できることからLiDAR向けの光センサでは主流となっているが,温度変化に応じ光の信号の増倍率を調整する必要がある。

このため同社は,増倍率を調整するためのマイコンや温度センサ,TIAなどを内蔵した使い勝手のよいAPDモジュールを開発,製造,販売しているが,LiDARモジュールの低コスト化に向け,マイコンや温度センサが不要となる新たなAPDアレイの開発に取り組んできた。

今回,独自の光半導体素子の製造技術を応用し,SBGを半導体基板上に高精度,高品質に形成する技術を確立した。これにより,SBGをAPDアレイと一体化し,温度変化にかかわらず光の信号の増倍率を固定することで,マイコンや温度センサが不要とすることに成功した。

同時に,信号処理回路のTIAを同一パッケージに内蔵しており,この製品を光センサとして組み込むことで,自動搬送車に搭載するLiDARモジュールの低コスト化を実現することができる。また,TIAの設計を工夫することで,出力する信号の揺らぎを抑えながらも応答速度を従来のTIA内蔵型APDアレイの3倍まで高めるとともに,誤検出の原因となるクロストークの発生を抑えた。

同社では今後,この製品を拡販するとともに新たな用途を開拓していくとしている。

キーワード:

関連記事

  • 【解説】光技術はこれからの安全保障をどう支えるのか

    防衛省は、令和8年版防衛白書を公表した(ニュースリリース)。今回の白書は「未来につながる安全保障」をテーマに、日本を取り巻く安全保障環境を分析するとともに、防衛力を支える技術力や産業基盤の重要性を取り上げている。 防衛白…

    2026.08.05
  • Orbital Lasers、宇宙用レーザー技術を活用した衛星LiDAR事業を紹介【光・レーザー関西2026】

    特別企画「航空・宇宙×光」ゾーンに出展しているOrbital Lasersは、宇宙用レーザー技術を活用したスペースデブリ(宇宙ごみ)除去と、衛星LiDARによる地球観測の取り組みを紹介している。 同社の技術開発は、スカパ…

    2026.07.16
  • 弘前大など、UAV LiDARで地すべりの地下構造を推定

    弘前大学は、ドローン搭載レーザー計測(UAV LiDAR)で取得した地表面データから、地すべりの地下にある「すべり面」の形状を推定する新たな技術を開発したと発表した(ニュースリリース)。 図 ドローン×3D解析による、す…

    2026.06.23
  • 小糸製作所、国産LiDARでデモ映像も展示【OPIE26】

    小糸製作所は、長距離・短距離向けの各種LiDARの開発を進めているが、OPIE26においてデモも交えて出展した。 同社は2018年より、LiDARベンチャー企業 米Cepton社と協業し、現在は短距離タイプと長距離タイプ…

    2026.04.24
  • 京都大学 特別教授 野田進教授

    フォトニック結晶レーザーが拓く「高輝度半導体レーザー」の次章

    半導体レーザーは小型、高効率という強みを持つ一方で、高出力化するとビームが乱れ「輝度」が伸びないという壁があった。フォトニック結晶レーザーはその常識を塗り替えつつある。その研究の先駆者である京都大学高等研究院・特別教授の…

    2026.04.02

新着ニュース

人気記事

編集部おすすめ

  • オプトキャリア