千葉大,酸化チタン光触媒薄膜ボールでコロナ不活化

千葉大学の研究グループは,SNSソフトとの共同研究で開発した酸化チタン光触媒薄膜ボールが,SARS-CoV-2を検出限界まで減少させることを示す99.99%の不活性化率を達成することを明らかにした(ニュースリリース)。

研究に⽤いた酸化チタン光触媒薄膜ボールは,研究グループで開発した新規成膜技術であるメカニカルコーティング法で作製した。この成膜技術は遊星ボールミルのポットに直径数mmのアルミナボールとチタン粉末を⼊れ,室温で数時間に渡り⾼速回転させることによる摩擦,衝撃および固着で約30μmのチタン薄膜を作製する成膜法。

作製したチタン薄膜ボールにさらに熱処理などのプロセスを加え酸化チタン光触媒薄膜ボールを作製した。ボール状にすることで,空気や汚染⽔など流動性汚染対象を酸化チタンナノ粉末や板状の光触媒よりも,効率よく浄化処理できる。

開発した酸化チタン光触媒薄膜ボール(直径2mm)を⽤い,第三者研究機関に依頼して3種類の光触媒機能の評価実験を関連JIS規定に準じ⾏なった。

その結果,①酸化チタン光触媒薄膜ボールによるSARS-CoV-2の不活性化試験では,酸化チタン光触媒薄膜ボールが,SARS-CoV-2を検出限界まで不活化したことが明らかとなった。また,酸化チタン光触媒薄膜ボールによる新型コロナウイルスの減少率は99.99%に達した。

②環境浄化試験では,紫外光照射による光触媒機能の発現によってアセトアルデヒドが分解され濃度が低下し,その分解により発⽣する⼆酸化炭素の濃度が上昇した。⼀⽅,紫外光照射の停⽌で光触媒を機能させないときはアセトアルデヒドの濃度が上昇に転じ⼆酸化炭素の濃度が低下した。

また,酸化チタン光触媒薄膜ボールによるホルムアルデヒドの分解試験でも紫外光照射の有無において同様にその濃度変化が現れ,酸化チタン光触媒薄膜ボールによる⾼い環境浄化機能が実証された。

③インフルエンザウイルス不活性化試験では,酸化チタン光触媒薄膜ボールによるインフルエンザウイルス試験で不活性化率は99.96%に達し,インフルエンザウイルスにも⼤きな効果を示すことが明らかとなった。

研究グループは今後,酸化チタン光触媒薄膜ボールを⽤いる環境浄化や,様々なタイプのウイルス対策へのフィルターや機器の開発を進める予定だとしている。

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