台湾E Ink Holdings Inc.はシャープディスプレイテクノロジー(SDTC)と相互に協力し,電子書籍リーダーや電子ノートに利用される電子ペーパーモジュールに,SDTC製のIGZOバックプレーンを採用すると発表した(ニュースリリース)。
E Inkは10年以上もの間,電子泳動技術への酸化物TFTの活用を検討しており,この技術を用いた電子ペーパー製品の拡大を予定しているという。酸化物TFTは,2012年にシャープが世界に先駆けてディスプレー向けの量産に成功しており,高い移動度やトランジスタの低いリーク電流により,より小さいトランジスタで同じ電流を供給できる。
これは,ディスプレーとしてより高速なスイッチングが可能であり,また,低消費電力化によって,持続可能な環境保全に貢献することを意味する。E InkとSDTCはこの2年間,酸化物TFTの電子ペーパーディスプレー向けの商用化に向けて取り組んできた。
過去5年間で,1億3,000万台の電子書籍リーダーが世界で利用され,紙の書籍から置き換わっている。紙の書籍は電子書籍の10万倍以上のCO2を排出しており,その期間,電子書籍リーダーは,CO2の排出削減に大きく貢献したと見積もられており,特にカラーコンテンツの電子書籍リーダーへの移行は環境面で大きなインパクトがあるとする。
今後両社は,小売や交通機関の分野での大型サイネージに向けて,IGZOの適用を検討していく。また,シャープグループにおいても,様々な電子ペーパー用途でのE Ink社との協業モデルを検討していくとしている。